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性用占精術 秘密のセックス鑑定 『星座別鑑定データ』
【ハーレム 官能小説】

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ピスケスの女 奉仕の章-1

 最近、桃をモチーフにしたストラップをつけている女性を多く目にする。ビー玉より小さめでローズクォーツか何かのパワーストーンで出来ているようだ。目立つものではないが流石に講義を受けている生徒の半分がバッグだったりペンケースだったりスマフォにつけていたりするのを見ると、何かの流行りなのかと思う。
スクールの受付窓口に居る事務の沢井莉菜に「お疲れ様」と声を掛けると「お疲れ様でーす」と元気よく返してくる。視界に桃のストラップが目に入った。

「沢井さん、それって今、流行り?」
「んん?これですか?」

莉菜はつまんで揺らしながら桃のストラップを僕の目の前に持ってきた。

「うん。つけている人が多いね」
「あれえ。先生知らないんですか?これ最近オープンしたタロット占いのお店のラッキーチャームですよお」
「タロット?」
「ええ。めっちゃ当たるんですぅー。今片思いしてる人とのこと観てもらったんですけど、なんていうか、なんでそこまでわかるの?ってびびっちゃう」
「それはすごいね」
「女子は占い好きですからねー。――あ、あの。星占いもみんな好きですよ」
「いいよいいよ。タロットは人気だからね」

てへっと笑う莉菜に手を振りスクールを立ち去った。――タロットか。

 タロット占いは卜術と言われ偶然性を使って占うもので、僕のやっている西洋占星術の命術――生年月日などを用いて必然的な運命を占うもの――と一線を画す。タロット占いは短期間しか鑑定することが出来ない代わりに的中率の高さを誇り、恋占い――ならタロットと言うように女性にとても人気がある。
この町は霊峰富士山の麓と言うこともあり占いはもちろんのこと多数の新興宗教も興りやすい。個人主義な世の中になった気がするが、まだまだ拠りどころが必要なのだろうと勧誘のチラシを眺める。僕自身タロット占いを否定してはいないが、星座好きが高じて、星を読み、西洋占術家になったため他の占術で占ってもらたことは皆無だった。――そんなに当たるのかあ。
少し興味が沸いた僕は今度、莉菜に場所を聞いてみようと思った。


『タロットルーム・桃香』は駅ビルの中にあった。僕の占い講座に電車で通う生徒も多い。どうやら大半は行きがけに占ってもらいストラップも購入したようだ。スクールから歩いて十分程度なので僕も様子を見に行くことにしてみた。
生徒とかち合うと気恥ずかしいので講座とかけ離れた時間帯に訪れた。平日の昼間だと言うのに五名ほど並んで待っている。――すごい人気だ。
全て女性客なので躊躇ったが市場調査と言うことで並んでみることにした。立て看板には一件につき二千円と書いてある。一人一人の鑑定は短いらしく一時間もたたないうちに残すところあと一人で僕の番だ。回転の速さに感心していると、相談の終わった若い女性が頬を染め「お次どうぞ」と言い――やはり桃のストラップを手に持ち――僕に頭を下げスキップの様な足取りで立ち去った。

 順番が来た様なので黒いドアを開け中に入る。ビロードの艶やかな紫のカーテンが垂れ下がっており、その少し奥にテーブルが見えた。

「こちらへどうぞ」

若く張りのある玉のような声が聞こえる。

「失礼します」

カーテンと同じ素材のテーブルクロスが敷かれた丸テーブルに着き、タロット占い師を見上げると透けた紫のベールをかぶり口元も覆い、目だけ見せている。隙間から覗く、たれ目がちな瞳は大きく、潤んで美しい。

「初めまして。魚女桃香と申します。今日はどういったご相談でしょうか?」

桃香は初々しく尋ねてくる。年配の女性を勝手に想像していた僕はメンを食らって、えへんと、とりあえず咳払いをしてから答えた。

「えっと。今後の恋愛運を観てもらおうかと……」

良い質問には良い答えが返ってくるというタロット占いに対してぼんやり質問をしてしまい自分の頓馬ぶりに思わず苦笑してしまった。

「わかりました。カードが展開されるまで少し待ってください」

 彼女は手早く五色で描かれた十字架のカードの束をシャッフルし始めた。大ぶりなタロットカードは彼女の小さな手をより愛らしく見せる。短く切り揃えられた爪先は艶やかな桃色だ。
展開されたカードの絵柄は専門外の僕にはなじみがないもので油彩なのか水彩なのか、デザイン的なようで象徴的な不思議なものだ。良いカードなのか悪いカードなのか分かり辛い。しかし、死神やら塔など分かりやすく出られるのも嫌なものだろうと思い彼女の鑑定を待った。

 六芒星のような形にカードは置かれ、桃香は一息おき「では」と言い鑑定を始める。

「えー。ここ一、二年の間に多くの女性と関わりをもってはいますが形になってないですね」

 よく当たっているのでギクッとしたが黙って聞いた。

「でも今すごくいい出会いがきてます。もう目の前にも」
「へえー」

僕でもいいことを言われると嬉しいもので、ピンク色のチュニックのようなものを着た女性の絵を眺めた。

「これはきっと運命の出会いです」

力強い言葉に顔を上げると桃香は口元のベールをとり、ぽってりしたグロスに濡れた桃色の唇を見せにっこり笑って言う。

「緋月さん。あなたを待ってました」


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