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性用占精術 秘密のセックス鑑定 『星座別鑑定データ』
【ハーレム 官能小説】

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レオの女 権力の章-1

 占い講座を終えて帰宅しようとすると、受付窓口から事務の沢井莉菜に呼び止められた。

「緋月先生。理事長が少し顔を見せてほしいとおっしゃってました」
「ありがとう。沢井さん、そのフープピアス。可愛いね。よく似合ってるよ」
「えへっ。先生の占いコーナーでラッキーアイテムがピアスって書いてあったから、買っちゃったの」
「よく読んでくれてるんだね。輪っかだから縁結びにもいいと思うよ」

勤労年数は浅いが人懐っこい沢井莉菜は僕に気さくに声を掛けてくるので一言二言雑談を交わす仲だ。

「えー、ほんとですかあ。だったらいいなあ。あ、そうそう。理事長室にお孫さんの麗子さんもいらっしゃいましたよ。先生、気を付けてね」
「そっかあ。ありがと。じゃあお疲れ様」
「失礼します」

出口から踵を返し、理事長室に向かった。――麗子さんがいるのか……。
足取りが少し重くなる。理事長の獅童玄治郎は僕が昔師事していた占星術の大家、紅月蘭子の元恋人だ。僕が師事しているころには二人はすでに別れており別々の人生を歩み友人として付き合っていた。紅月蘭子は占星術家として最後に僕を育て亡くなった。そして華やかな活躍の場から離れふらついていた頃に獅童玄治郎から経営しているスクールの講師にと誘われた。なんとかこの世界で食べていけるのも彼のおかげだろう。
理事長室のドアをノックした。

「緋月です」
「入りなさい」

野太いしっかりした声が聴こえる。

「失礼します」
「星樹君、ご苦労さん。そこに座んなさい」
「はい」

大柄で熊の様な玄治郎の隣に二十代前半だがすでに女王の風格のある孫娘の麗子がつんとした表情で立っている。大きく巻いた栗色の髪は艶やかで質のよいたてがみのようだ。顔立ちははっきりとしていて大きな鋭い目でひと睨みされると気弱な人間は二度と目を合わせることが出来ないだろう。昔は苦手だった高慢さを絵に描いた様な高圧的な女性だが、ここ数か月の女性たちとの関わりのおかげか少し平気になっている。威圧感に対して押し負ける感覚が減っているようだ。

「麗子も座りなさい」
「はい」
「お久しぶりです。麗子さん」
「ごきげんよう。緋月さん」

柔らかい革のソファーに麗子と並んでかけた。

「お話と言うのは?」
「うーん。話と言うほどでもないんだがね。講座の調子はどうかな」
「そう……ですね。ぼちぼちですかね」
「ふむ」

ここ数年ですっかり丸くなった獅童玄治郎は豊かに蓄えた白いひげを撫で上げながら頷いた。

「おじいさま。少しぬるくないですか?ほかの講座より受講生が少ないじゃないですか。明らかに」

麗子は下目遣いで僕をチラッと一瞥し玄治郎に発言する。

「まあ、そうかもしれんが……。でも長く受講する人が多いじゃろう」
「そうかもしれませんけど、ちょっと特別扱いしすぎじゃないですか?」
つんとした表情で麗子は言いたいことをあけすけに言う。
「あ、あの……」
「ん?何かね?」
「僕も最近講座のマンネリ化が気になってまして、それでちょっと考えたんですが、今春の講座から新しくセクシャリティについて触れていこうかなと考えているんです」
「ほう」
「センシティブな内容かもしれないので慎重にはやりたいと思っています。受講生はほぼ女性で、性に関する問題を多く抱えてはいますが男と違って大っぴらに話せないじゃないですか。自分の事を知りたくて受講してくれていますが、セックスには触れたくても触れられない。随分オープンな世の中になったのにまだまだ閉鎖的な悩みの様なんです。できればそこも解決していきたいなと考えています」
「ふうむ。さすが蘭子の最後の弟子だな。星樹君は女性にとても寄り添った占い師だねえ」

玄治郎は目じりを下げてにこにこと僕を見つめた。

「あ、いえ。まだ……。ありがとうございます」

僕は照れ臭くなり頭を下げた。

「へー。面白そうじゃない。でも星占いで何がわかるっていうのよ。セックスの問題なんか病院とかに行けばいいでしょう?」

馬鹿にしたように麗子は声を上げて大げさに肩をすくめた。

「はあ……」

現実的で実直な彼女にはデリケートな問題ではないらしい。玄治郎も少し同情するような目つきで僕と麗子に目を配った。

「次の講座でセックス鑑定でも披露してもらえないかしら。あまりふがいない講座は切った方がいいと思ってるのよ。じゃ、私はこれで失礼するわ」

立ち上がって形式的に頭を下げ彼女は出て行った。素晴らしく高いヒールは彼女の存在そのもののようだった。


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