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闘牝
【スポーツ 官能小説】

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闘牝-6

「ちぃっ!」
 強引に身を捻りつつ、背後の美柚子に肘をぶつけようとする凜。
 その背に頬を押しつけて肘を躱し、斜めに身を捩りながら、
「てやぁああっ!」
 超低空でブリッジし、鋭い裏投げを打つ美柚子。
 硝子細工のように華奢な美少女の、いったいどこからそんな力が出てくるのか――体格に勝るポニーテール美少女が軽々と持ち上げられ、肩口からドッと土俵に落ちる。飾り縄に麓を締め上げられ、丸みを増している美乳が、激しい動きに煽られてぶるんぶるんと回転する。
 受け身を取る間もないほど素早い投げだったが、折り込み済みだった凜は衝撃に耐え、足が土俵に着くと同時にすぐさま身を捩って美柚子を抱き締め返した。
「だりゃぁあっ!」
 お返しの裏投げだ。
 細く軽い美柚子の裸体は軽々と持ち上げられ、腰辺りの高さから土俵へ。
 そのまま叩きつけられれば大きなダメージになるが、美柚子は脚を振って身を捩り、
「く……ッ!」
 肩から土俵に落ちる。
 一応避けた形ではあるが、体勢は悪い。
 身体が完全に倒れている。
 対する凜は投げ終わりに身体を捻っていたから、すぐさま美柚子に飛びかかった。
 まるで獲物を襲う虎のような、力強く俊敏な動き。
「さすが、佐伯さん……ッ!」
 蒼褪める頬に微笑を浮かべ、自ら仰向けになる美柚子。背をくねらせて腰をズラし、立てた膝を凜に向ける。
 いわゆるガードポジションだが、凜はお構いなしだ。抵抗する膝を腕で強引に押し分け、身体をねじ込み、そのまま覆い被さろうとする。
 のしかかってくるポニーテール美少女との距離を測り、タイミングを取って、
「――シッ!」
 凜の顔面にスナッピーな右ジャブを打ち込む美柚子。
 至近距離からの鋭いパンチだったが、闘牝は投げあり、絞めあり、打突ありの総合格闘技だから、凜は驚くこともない。わずかに首を捻って難なく避け――るが、次の瞬間、
「あ……く、くそっ!」
 美柚子にグイッと引き寄せられ、悪態を吐いた。
 避けた細腕が凜の右肩に絡みつき、同時に手首を取られて、腕関節を極められたのだ。
 チキンウイングアームロック。またの名をキムラロック。
 下からでも関節を攻めることでタップを取れる、厄介な関節技だ。
 咄嗟に腰を浮かせ、極められた肩を弛めようとする凜。
 その下の美柚子はすかさず腰を揺らして脚を曲げ、爪先を凜の内腿に引っ掛けて――。
「てやっ!」
 隅返しで凜を前転させる。
「くそっ! こ、この……ッ!」
 呻く凜が仰向けになったときにはもう、美柚子に抑えつけられていた。キムラロックを極めている腕に引っ張られるようにして美柚子もクルリと回り、横から胸を合わせる形になったのだ。
 それだけでは止まらず、凜の右肩をグイッと引き上げ、腕を絞るようにして関節を痛めつける。同時に右脚を立て、膝裏で凜の頭を挟むようにして、頚椎も極める。
 髪を振り乱して頬を赤らめた裸美少女たちが白い柔肌を擦り合わせながらしきりに揉み合う姿に、観客たちは大悦びだ。抑え込まれている凜の顔は股縄にキリキリと締め上げられている美柚子の股間を覗き込むような格好になっているので、いやらしい妄想を膨らませる者もいる。
 だが、腕関節を極められている凜はそれどころではなく、たまらずタップ。すぐさま行司が割って入り、絡み合い縺れ合っている二匹の裸美少女たちを引き離した。
 抑え込みや関節技が許されている競技では、たいていの場合タップ=負けだが、前述した通り、闘牝では排泄以外の負けはない。
 片方がタップした場合は、土俵から落とされた場合と同様に仕切り直しだ。
 このとき、中断直前に不利だった側――タップで中断ならタップした側、土俵から落ちてなら落とされた側――は、相手に尻を向けて四つん這いにならなければならない。
 もう片方は普通に頭を前に向けての四つん這いだから、裸美少女が裸美少女の股間を覗き込んでいるような、あるいは尻穴や秘裂の匂いを嗅いでいるような、犬の挨拶にも似た浅ましい格好になる。
 それを観て、猿のように昂奮する観客たち。手を打って笑ったり、下品な口笛を吹いたり、ケータイやカメラを掲げてフラッシュを焚き、何枚も何十枚も撮影したり。
 裸美女が尻を嗅いだり嗅がれたりという、実に牝畜らしい格好だから、仕切り直しはプロの闘牝でも悦ばれる。
 だが、学生闘牝の盛り上がりは、プロよりさらに大きい。


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