いざベトナムへ-1
4月13日、野田は、成田から、朝の便で飛び立った。
途中、台北で乗り換えて、ホーチミンシティに到着したのは、現地時間の夕方の4時ぐらいだった。
ターミナルを出ると、ムッとした熱気が襲ってくる。
ベトナムは、日本のように南北に長い国土である。
南の方にあるホーチミンシティは、常夏である。
この時期、ホーチミンは1年で最も暑い、いわゆる酷暑の季節である。
白タクと思われる客引きから、けっこう声が掛かる。
それを無視して、バスのチケット売り場へ向かう。
行き先を告げ、バスのチケットを買う。
そして、指さされたバスに乗り込む。
バスで、ベンタイン市場まで行き、そこから歩いて5分ぐらいで、ドンコイ通りに出る。
ホテルにチェックインを済ませ、部屋でひといきつく。
たった5分歩いただけで、身体中から汗が噴き出ている。
6時45分、野田はロビーに降りる。
7時ちょうどに、若狭がやってきた。
『野田、久しぶり!わざわざホーチミンまで来てくれて、ありがとうな。』
『ご無沙汰してます、先輩。』
2人は、タクシーに乗って、若狭の行きつけの居酒屋に向かう。
地理が分からない野田は、今どこを走っているのは、まったく分からないが、タクシーで20分ほどで、その店に到着。
『こうやって会うのは、3年ぶりかな?』
と、若狭が言う。
『そうですね、以前、都内のコンペで会って以来ですよね。』
と、野田が答える。
その日、3時間ほど、2人は飲んで食べて、積もる話を続けた。
ホテルに戻ったのは、夜の11時ぐらいだった。
旅の疲れもあり、シャワーを浴びると、すぐに寝てしまった。