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魔女の蝶
【ホラー 官能小説】

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森の中へ-2

突然
シャーロットの前が明るくなる。

シャーロットの目の前には
沼があり
その周辺には
見たこともない黒い蝶が飛んでいた。


沼の対岸には小屋が見える。
シャーロットは
魔女の小屋だと確信をする。


「お話に聞いていた沼と小屋!
全く同じだわ!」


シャーロットは
慌てるように
対岸の小屋にかけより
ドアをノックしてみるが
返事はない。


「お留守なのかしら?」


やっと魔女の小屋まで
たどり着いたシャーロットは
沼の畔に座り込み
魔女の帰りを待つことにした。


黒い蝶が舞っている。


草に留まった蝶を
観察していると
黒く見えた羽は
うっすらと
青くキラキラ光る
模様があったのだった。


「なんて美しいの!
黒くて気味の悪い蝶かと思ったけど
良く見てみると
青い模様がとても綺麗♪」


シャーロットが
蝶に触れようと手を伸ばした瞬間
それを阻止する
女の声がした。


「触れちゃダメ!」


びっくりして
手を引っ込め辺りを見回す。
声はすれど姿は見えない。


シャーロットは
立ち上がり声を張り上げる。


「魔女様!
お願いがあるんです!
助けて下さい!
お願いします…姿を見せて…」


泣きそうになりながらも
シャーロットは
魔女に語りかける。


すると
黒い蝶が沼の中心に集まり
大きな塊になると
それが人の形を作り出した。


どんどん蝶は集まり
人の形は
少女に変身したのだった。


一糸纏わぬ姿の少女の肌は
雪のように白く
漆黒のように黒く長い髪だった。


少女の見た目は
シャーロットよりも若く見える。


「あなたが魔女様なのですか?」


「ふふふ…あなた…
よく小屋に入らなかったね…」


沼の中心で浮いている
少女は
笑みを浮かべて
シャーロットに話しかける。


「はい…お留守だったようなので…」


「小屋に入ってたら命はなかったよ」


「魔女様にお願いがあるんです!」


「なんだい?来ていきなり…」


「お父様を!お父様を
助けて欲しいのです!
父は人に殴られて
目を覚まさなくなって
しまったのです!」


「それで私にどうしろと?」


「父を!お父様を
元に戻して欲しいのです!」


「なぜ私がそんな事をしないと
いけないんだい?」


「魔女様は昔
たくさんの村人を救っていたと
聞いてます!
どんな病にも効く薬を作れると…」


「はっはっはっはっ…
どんな病もねぇ…」


「お願いします…!」


「人間の命は助ける事は
出来ないのだよ!
それで死ぬのも運命
運命には逆らえないんだ!」


「お願いです!
パンも持ってきました!」


バスケットにいっぱいに摘めた
パンを差し出すが
魔女は大笑いをする。


「そんなもの今の私には
どうでもよいわ!」


「何でもします!
お願いだから父を助けて下さい…」


「さっきも言っただろ?
運命には逆らえないんだよ!

お前たちの血は
この世から消えて無くなる
運命なんだ!

それでも生き長らえたいのかい?」


「お願いします!何でもします
何でもしますから……………」


「何でもするって言ったね?」

「は、はい…ですから…
お願いします!」


「この世の美しさと醜さを
身を持って知る事となるが
その覚悟はあるのかい?」


「…はい!」


「運命にも逆らえない事も
承知のうえだね!
わかった!
望みを叶えてやろう…」


魔女はそう言うと
一瞬でたくさんの黒い蝶に戻り
空高く飛んでいく。

蝶が
黒い柱の様になると
沼の水がどんどんと吸い上げられ
黒い水の柱となった。


シャーロットは
希望を胸に
その不思議な現象を見守っている。


しかし
その水柱は
シャーロットの方へ
向かって来たのだ。


一瞬驚く
シャーロット
しかし
シャーロットの決意は固い。


そのまま黒い沼の水に
覆い尽くされてしまい
気を失う。


冷たくも温かく感じる
黒い水で。


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