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芳恵叔母―フルハウス
【近親相姦 官能小説】

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119番を!-1

 ベンツを降りての夫人の勢いは、先ほど、僕の上に跨って、腰を振っている以上の激しさだった。江藤運転手が後部座席を開くや否や、飛び出していく。
 あとを追いかける僕の前で、夫人が入り口のドアの前で立ち往生していた。焦りがありありと見える手つきで、事務所玄関の鍵を探している。やはり、あの老人、昏倒した芳恵をいいようにしているに違いなかった。
 僕が瑠璃子夫人の背に追いつくと同時に、彼女は鍵を開けた玄関に飛び込む。書庫の前を通り、月当たりの事務所まで速足で歩くと、そこもまたカギがかかっていた。
 「助けてッ!だ、誰かッ!」
事務所の中から芳恵の悲鳴が聞こえ、僕の全身に冷や汗が浮かび上がった。芳恵の声が尋常ではない事態を告げている。
 「先生がッ!先生がッ!きゅ、救急車をッ!」
なにが起こったか想像もできずに気をもむ僕の目の前で、夫人が事務所の扉の鍵を開けた。中に飛び込み、僕はもとより、瑠璃子夫人まで絶句し、立ち尽くした。
 芳恵が全裸で縛られていた。足を頭にあげ、丁度でんぐり返しの途中のような、屈辱的な格好で、鴨居老人のデスクに縛り付けられていた。その恥部を見せつけるような恰好で縛り上げられた芳恵は、激しく頭を振りながら、
「救急車をッ!」
と叫び続けていた。
 「・・・ひどい・・・」
絶句した瑠璃子夫人が、絞り出すような声でそう呟く。何度かは自分の夫との浮気を疑い、憎んだ女子事務員であったが、同じオンナとして今見える芳恵の格好はやはり許せない、と思ったに違いなかった。
 僕は立ち尽くしたまま動かない夫人の前に躍り出て、芳恵の前に駆け寄った。彼女を縛めるロープを解き、あまりにも屈辱的な格好から解放してあげたかったのだ。
 芳恵は何度もそのロープを自分で解こうとしたのだろう、彼女の手首と足首は、擦れて赤くなっている。しかも固く結ばれていた。
 僕がその硬い結び目に格闘を始めると、芳恵は一瞬だが、安堵の面持ちをした。しかしすぐ、硬く目を閉じ、首を激しく振る。
「先生を!先生、あっち!」
芳恵はまた叫び、唯一自由な首を振って、僕になにか伝えようとしているのに気づいた。彼女が目配せで伝えようとしている方向の床に、デスクに隠れて、足の爪先が見えた気がした。
 そう言えば、鴨居老人の姿がないことに、今更ながら気づいた僕だ。その爪先を見て、嫌な予感がした。
 デスクを回り込み、窺うと、そこには身をエビのように折り曲げて横向きに蹲る、痩せさらばえた全裸があった。
 「か、鴨居先生っ!」
その全裸は鴨居老人だ。ピクリとも動かない。僕は恐る恐る近寄った。大げさに足を踏み鳴らし、寝ている老人が驚いて飛び上がりはしないものかと、思ったのだ。
 「鴨居先生ッ!」
もう一度僕は叫び、裸のカサカサした肩の辺りに手を置いた。揺さぶって起こそうとしたが、僕にはできなかった。肩に触れた瞬間、その冷たい肌に驚いてしまったからだ。
 「貴男ッ!」
僕の動転した有様に、瑠璃子夫人もさすがに気づいた。駆け寄り、僕を押しのけて、裸で床に蹲る老人に覆い被さり揺すり始める。
「貴男ッ!」
瑠璃子夫人が再び叫ぶ。その声は絶望を悲痛さを混ぜ合わせたような、聞いている者さえも身を捩るような叫びだった。彼女は気が付いたのだ、鴨居老人がもう、二度と目を開けないんじゃないか、って・・・。
 「先生がッ!急に胸の辺りを押さえて・・・。倒れたの。苦しそうに呻きながらッ。・・・助けようとしてもできないのっ!」
デスクの上で芳恵もまた悲痛な声で叫んだ。
 (心臓発作だ!心筋梗塞?)
今度は僕が夫人を押しのけ、呼び掛けてもピクリとも動かない老人をゆっくりと仰向けにした。
 顔に苦悶の表情を浮かべたまま、鴨居老人は口の周りに泡をたくわえ、白目を剥いていた。胸の辺りには、手で掻き毟ったのだろう、幾筋も血の浮かんだ蚯蚓腫れが走っていた。そして彼の股間には・・・。亀頭が切り落とされたような不格好なペニスが濡れている。縮み上がり、陰嚢の上に乗っていた。
 「芳恵ッ!先生はいつ?いつ倒れたのっ?」
僕は老人の掻き毟った冷たい胸に手を当て、叫んでいた。瑠璃子夫人の前では、芳恵を呼び捨てにせず、芳恵叔母さん、と呼んでいたにもかかわらず、この時ばかりは呼び捨てにしていた。
 芳恵も焦っていたのだろう、
「アナタがここに来る5分くらい前よ。いえ、もっと経っていたかも・・・。息ができない、と突然苦しみ出して、胸を押さえてた」
と、僕をアナタ、と呼んでいた。
「床の上を激しく苦しみもがいていたけど・・・。急に静かになって・・・。こ、この格好じゃ、先生が倒れたとこも見えないし・・・。でも、絶対、心臓か何かがおかしくなった、って思ったわ・・・」
「わかった!」
僕は老人の置いた手の甲に手を重ね、心臓マッサージを試みた。普通救命士の資格は持っている。講習を受けて、実技を受けて、簡単に取れるヤツ、であったが・・・。
 僕の横で夫人が悲鳴を上げ続ける。揺さぶって、眠っているだけだと信じ込みたいのだろう、鴨居老人の名を呼び続ける。心臓マッサージのカウントさえ取れないほどに。


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