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真奈美の性春
【学園物 官能小説】

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家族旅行での出来事 2-3

「えっ?」
香澄が振り向くと、そこには和服を着た同年代の女性が立っていた。
「香澄、だよね。さっき、宿帳を見て……。
 もしかしたらって思ったんだけど……。」
「えっ?誰?」
「わたしだよ、わたし。フーミン。」
「フーミン?……。フーミン?!」
「わ〜。思い出してくれたんだ。カスミン。久しぶり。」


階段を降りたところで立ち止まっている母親を振り返り、真奈美は叫んだ。
「お母さ〜ん。真奈美、先に入ってるよ〜。」
真奈美は母親の返事も待たずに風呂へ向かった。

「フーミン。えーっ?どうしてここに?」
「どうしてって、ここ、うちの旅館だもの。」


     和服を着た女性、星野史恵。旧姓細川。
     この温泉旅館の女将であり、香澄の高校時代の親友だった。


懐かしさもあって、香澄はしばらくの時間、
史恵との話に夢中になってしまった。


階段を降りたところで立ち止まっている母親を振り返り、真奈美は叫んだ。
「お母さ〜ん。真奈美、先に入ってるよ〜。」
真奈美は母親の返事も待たずに風呂へ向かった。

母親を待てずに歩き始めた真奈美は【混浴】の暖簾の前で立ち止まった。
中からは微かに真央の喘ぎ声が聞こえてきた。
(あ、やっぱりまだ入ってた。ちょっと覗いてみようかな。
 あ、でも、今はお母さんも来るんだっけ。)

真奈美は混浴が気になりながらも女湯の暖簾をくぐった。
素早く浴衣を脱ぎ、湯船へと向かう。
岩に囲まれた作りは、さっき覗いた混浴とよく似ていた。
(あれ?やっぱりあっちの方が大きいんだ。混浴の方に入る人が多いからかなあ。)
真奈美は母親に言われたように、洗い場で身体をよく洗い、湯船に入った。
(え〜と。タオルはお湯に中に入れません。
 バスタオルを巻くのは撮影のためです。
 特別な許可を得て撮影しています。)

真奈美はタオルを頭の上に乗せ、身体を伸ばした。
目の前に山肌が見える。
「わ〜。極楽極楽。気持ちがいい。」

真奈美は湯船から出て風呂場の端まで行き、手すりに手をかけて身を乗り出した。
下には小さく流れの速い川が流れている。
右手を見ると、混浴の手すりが見える。
(あ、ホントにすぐ隣なんだ。
 境目の端っこの方に行けば、中が見えるんじゃないかなあ。
 うわ〜。風が気持ちいい。)
真奈美はそう思いながら、再び湯の中に入った。
のんびり浸かっていると、やはり混浴の方からの声はまだ続いていた。

(お母さん、遅いなあ。何をしてるんだろう。)

真奈美は立ち上がり、頭の上のタオルで身体を軽くふくと、
裸のまま脱衣所から廊下へ出た。


その頃帳場では香澄と史恵が黙ったまま向き合っていた。
「……。」
「ごめんね。そうだよね。あれからもう何十年も経つんだもんね。
 ごめんなさい。
 お客様、大変失礼いたしました。
 お風呂はあちらでございます。ごゆっくりどうぞ。」

史恵は急に他人行儀な言葉遣いでそう言うと、お辞儀をして歩きだした。

「フーミン。夫に話してみるわ。
 この宿が気に入ったから、少しゆっくりしたいって。」
史恵の足が止まった。
史恵は振り返らず、香澄とは顔を合せないまま、小さくお辞儀をした。


混浴の暖簾の前で母親が立ち止まっている。
「お母さん。そこは混浴。まだ、お兄ちゃんたち、入っているみたいだよ。」

真奈美の声に、母親はすぐに気づき、真奈美の方へ向かってきた。
「ヤダ、真奈美ちゃんたら。裸で出て来るなんて。」 
「もう。お母さん、遅いから、真奈美、心配しちゃった。」
「ごめんなさい。ちょっと知り合いに会ったものだから。」
「知り合い?あ、女将さんでしょ?」
「えっ?どうして知ってるの?」
「さっき、お風呂の様子を調べに来た時に会ったんだ。」
「そ、そうなんだ。」
「あのおばちゃん、いい人だね。でも、ちょっと秘密があるっぽいけど。」

真奈美は母親の目が何となくうるんでいるのを不思議に思いながらも、浴室へ戻った。

母親は身体を洗いながら何やら目をつむっている。
(お母さん、眠いのかなあ。)

「わ〜い。今、鳥が飛び立ったよ。」
真奈美は顎のあたりまで湯に浸かりながら、初めての露天風呂を満喫していた。
(いいなあ、鳥さんて。どこにでも飛んでいけるんだもんな。
 真奈美も鳥さんだったらいいのにな。
どこにいてもすぐにとし君に会いに行けるもん。)

(あ、でも、鳥さんは露天風呂には入れないか。
 だったら人間のままの方がいいかなあ。)

「気持ちいいぞ〜。露天風呂、最高〜!」
真奈美は立ち上がり、向かい側の山肌に向かって思い切り叫んだ。
その声はすぐに木霊となって返ってきた。

「真奈美。恥ずかしいからそんなに大きな声で叫ばないで。」
母親の言葉に重なって、真奈美の耳に若い女性の声が飛び込んできた。
「あん。いい。お兄ちゃん。」
(あ、まただ。この景色を見ながらお兄ちゃんたち、してるんだろうな。
 気持ちいいだろうな。
 お風呂に入っているだけでも、こんなに気持ちがいいんだもん。)
真奈美は耳を澄ませる。
鳥の声と渓流の流れの音に混ざって、混浴での会話が風に乗って聞こえてくる。

「いや〜。きれいな身体だ。スタイルも抜群だし。」
孝志のものではない、男性の声が聞こえた。
(あれ?あの声……。)
真奈美は何かに気づいたようだった。


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