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芳恵叔母―オンナたちの家
【近親相姦 官能小説】

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牧子というオンナ-1

 風呂場から上がると、牧子の言った通り、新品の下着が置いてあった。それと、少し小さい男物のパジャマも上下、置いてある。パジャマはずいぶん古いタイプのものだった。恐らく、牧子の、女を作って出て行った夫が残したものだろう。牧子にとってはこのパジャマ、彼女の未練が残したものかもしれない。そう思うと、複雑な気になった。
 居間に戻ると、芳恵と牧子は並んでテレビドラマを見ていた。ふたりの間には会話なく、画面を真剣に見ている。その後ろ姿に、家庭それぞれの家族関係を見た気がし、不思議な気持ちになった。
 CMになり、芳恵が急に振り返る。
「あ、お風呂、出たのね?」
昼間の彼女と打って変わり、ひどくぶっきらぼうに聞こえた。それでもすっと立ち上がり、台所に一度引っ込むと、冷えた麦茶を盆に置き、僕の前に差し出してくれた。
 母親を前にして、まさかイチャイチャもできるはずもない。昼間、肌擦り合う関係となった僕らだ、男女の関係をあけっぴろげにすることもないし、なにしろ近親相姦には変わりない。素っ気ない方がいいのだろうと思いきや、盆の麦茶を差し出す際、母親に知られぬように僕の手をそっと握る。束の間、潤んだ瞳で僕を見つめ、声を出さずに口だけ動かし、
「あ、と、で、ね・・・」
と意味深く僕に伝えた。
 「お母さん、お風呂、先戴くわ」
あれだけ真剣に見ていたドラマもそっちのけ、芳恵が風呂に立った。
 居間にふたりだけになった僕は、風呂場での牧子の真意を計りたい気持ちになった。おかしなことだが、背中に触れた牧子の頬の感触が今も残り、蘇る。牧子を遠巻きにして、彼女が真剣に見ている後姿を改めて眺めてみる。
 母娘である、芳恵と同じく小柄だが、腰回りやお尻の辺りの肉付きはよく、横座りの後姿には、確かにオンナを感じる。色っぽいものだ、と妙な衝動を覚える。
 だがまさか、衝動の赴くままに、彼女を今度は後ろより抱きしめてしまうほど、僕には勇気があるわけでもない。芳恵との情事に少し、影響され過ぎたものか、と思い、牧子のオンナらしさを頭の隅に無理矢理追いやろうとした。
 その彼女が振り返り、僕はドキリとした。
「いいお湯でした?」
振り返るなり、牧子は艶やかな微笑を浮かべ、先ほどと同じような内容を繰り返す。
 「ええ。・・・背中を流してくださって、ありがとうございました」
僕は僕で、少し慇懃無礼にもそう答えると、牧子が手招きする。
 「お酒でも、飲まれます?」
横に座れ、と手招きしながらそう尋ねた。
「いいえ、僕はあまりやらない方で」
僕は未成年だ、とは応えずに、おとなぶってそう答える。
 「一緒にテレビ見ませんか?」
牧子は微笑をたたえつつ、そう言ったがすぐに、
「あ、ドラマ、見ます?これ、毎週見ているんですよ」
と早口で言う。
 ドラマには興味がない、とは言い切れず、そうは言ってもはじめて泊まる家だ、所在なく、そしておとなしく、彼女の隣に腰かけた。
 画面を見つめる牧子の手をそっと見る。シワひとつない手だ。その手が僕の背中に触れた。牧子の手が、昼間、その娘の芳恵が包んでくれたように、僕の陰茎を掴んでくれるものだろうか?とひどく失礼な妄想を抱く。
 そんな牧子の横で寛げるはずもなく、僕はただ緊張して座り続けていると、間もなくドラマは終わった。
 牧子に言い寄られたら、どうすれば?そんなヘンなことを考えつつ、早く芳恵が帰ってくるよう願うばかり。気が付けば牧子はテレビではなく、僕の方に向き直り、微笑を浮かべ、僕をじっと窺っていた。
 「・・・・・・」
その視線に気づき、僕が目線を上げると、牧子はそれを逸らすかの如く立ち上がる。
「喉乾いたでしょう?もう一杯麦茶、いかがです?」
言うなり台所に向かい、麦茶の入ったデカンタを携え戻ってきた。
 座り直し、また僕をじっと見つめる。空になったコップに麦茶を注ぎ終わると、牧子は口早に、まるでまくしたてるように。先程のドラマのストーリーを話し始めた。
 なぜ、僕は牧子の、興味もないドラマのストーリーを聞いているのだろう?牧子は牧子で、なぜ一方的にそんな話を続けるのか?
 彼女はしゃべり続けて口が乾くのか、何度も唇を舌で濡らす。その舌の動きに淫靡な妄想を掻き立てられ、僕は股間が熱くなるのを感じた。
(いけない、こんな年上も年上、芳恵の母親に欲情しちゃうなんて・・・)
僕は慌てて視線を逸らす。すると牧子は急に言葉を噤んだ。
「あら、ごめんなさい。ついついつまらないお話を延々つづけてしまって。ふふ、若い男の方が家にいると思うと、なんだかうれしくなっちゃったの」
牧子はしなを作ってそう釈明した。
 その時僕は気づいた。僕が牧子にオンナを感じ始めたように、牧子もまた僕をオトコとして意識していたのだ。だからふたりきりになったいま、彼女はしゃべらずにはいられなかった。口の中が乾くまで、話し続けたのではないか?
 それに、入浴中のバスルームに牧子が現れたのも、やはり意味があったのだ。いかにも女だけの家庭らしく、軽装で現れた彼女だが、それにしてはタンクトップにホットパンツの肌露出の多い姿。白く艶めかしい白い肌は若い僕の目に、瞬時に焼き付いてしまった。恐らくだが、しゃがむ彼女の脇に立ってしまえば、胸の膨らみも襟元から見えてしまうことだろう。
 そして、最後に牧子は僕の背に触れたいと言った。手だけでなく、方頬をぴたりと僕の背に押し付けたあの感触は、やはり彼女の性衝動がなしたものなのだろう。
 牧子は決して枯れてはいない、オンナそのものなんだ、と僕は悟った。


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