⑧不倫の始まり-1
もう彼は来ていた。
友人のウェイターと楽しそうに話し込んでいた。
「やあ，わざわざありがとう。」爽やかな笑顔で礼を言う。
「いえ私こそあの時助けて頂いて感謝しています。」
「僕は浪漫大学の２回生で本郷康太と申します。でも年齢は２５歳です。」
と、少しはにかみながら自己紹介を始めた。
「私は松本紗恵と申します。」店員が薦めてくれた彼の隣の椅子に腰かけた。
向かいの席ではないので違和感を感じたが笑顔で応じた。
実はこの店員もホッククラブのメンバーで計画通りの配置なのだ。
先ずワインとオードブルが出され先ほどの店員が注いでくれた。
「紗恵さん。二人の再会に乾杯。」
「乾杯。忘れないうちにスマホ返しておくわ。」
「ありがとう。本当に中は見てないよね。」
「ええ見てないわよ。」澄ました笑顔で答えた。
こうしてみる彼の横顔はイケメンという言葉より綺麗だという言葉の方が当てはまる。
ワインが2杯目に進んだ。
「紗恵さん凄く可愛い。どう見ても人妻には見えないな。」
「止めてよ。もう小学生の娘がいるのよ。」と答えながらもうれしかった。
「それより本郷君、25歳で2回生ってどういう事？」
「実は休学して世界中を回っていたんだ。」その冒険心の強さに好感が持てた。
ランチメニューが終る頃には少し酔ってる自覚があった。
「今だから正直に言うけど俺、あの時のキスに少し興奮していたんだ。
その瞬間は元カノの事も相手が見ず知らずの人妻だという事も全部忘れていた。
そしてこの4日間ずっとその感触に悩まされて続けていたんです。」
その言葉に少し躊躇しながらも「私もよ。」と答えてしまった。
その一言を聞いただけで彼は立ち上がりレジに向かった。
駐車場で車に乗ったとたん肩を抱かれ唇を奪われた。
あの日と同じディープキスが始まる。上手だ。
動悸が激しくなる。
その胸をワンピースの上からまさぐる。
数年ぶりに女を取り戻していた紗恵はそれだけで簡単に燃え上がる。
「ああ～」大きくため息を吐いて彼の首に手を回した。
積極的に自ら舌を使い首に回した両手に力を入れた瞬間彼はにっこり微笑み優しく紗恵の両手を解くのだった。
車を発進させ駐車場を出た。
酔ってるはずだけど大丈夫だろうかの心配はすぐに終わった。
３分ほど走って車はきらびやかな建物に入った。
その時の脳裏にはフラッシュバックの様に彼の巨根が踊っていた。
手慣れた様子で部屋を選びエレベータに乗る。
下半身が濡れるのを実感しながら黙ってついて行く。
部屋に入っても彼は決してガッつかない。
私の方が焦っている。
冷蔵庫からワインを取り出し「二人の前途に乾杯。」
ベッドを横目に見ながらなんという余裕だ。
私の方が年上でしかも人妻なのよ。
「ええ。乾杯！楽しくやりましょう。」言った後で私らしくない言葉だと思った。
ワインを片手に私の隣に移動した。
いきなり唇を奪われ口移しにワインが注ぎ込まれる。
飲み干した後に彼の舌が歯をこじ開け侵入してくる。
あの日の甘いディープキスの再現だ。
ただ違うのはチンピラ達に命令されたのではなく自分の意志での行為であった。
言い訳のできない不倫のスタートでもあった。
もう後戻りはできない。
彼を抱き返し舌をも積極的に使った。
口の周りが唾液にまみれるほどの激しさが数分続いた。
呼吸が苦しくなって唇を外した。
肩で呼吸しながら喘ぐ私を彼は優しく見つめる。
いつの間にかワンピースのフックが外されジッパーは腰まで下りていた。
私がディープキスに夢中で興奮していたのに彼は冷静に脱がし始めていたんだ。
年上の人妻が若い男の子相手にこれじゃ駄目だわ。
自ら立ち上がってワンピースを脱いで下着姿を晒した。
彼も立ち上がりパンツ１枚になった。
さりげなく横眼で流す。
生地の薄いブーメランパンツだ。
なにっ！想像はしていたがもっこりが大きな塊に見える。
極太の肉棒がへその方に伸びパンツの上端からはみ出しそうになっている。
もう横目で流す余裕はない。
目を見開いて食い入るように見つめる。
凄いっ。薄生地ゆえその形もはっきりと見える。
先端部分の鈴口が二つの瘤に見える。
ベッドに誘われ抱き合ってのディープキス。
先程とは違う。セックスの前戯にあたるキスだ。
肌が触れ合い彼の温もりを感じる。
唇が首筋に移動する。
舌が耳裏とうなじを上下し始める。
最初こそばゆく感じていたこの舌の動きが気持ち良さに変わった瞬間彼の舌は下がってくる。
ブラのホックが外され鎖骨を舐めあげゆっくりと丘を登り始める。
舌の行先は明らかだ。
思わず甘い吐息を吐いてしまう。