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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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-2


街の中を縫うように走る江ノ電は民家と近く曲がりくねる。
夏は観光客と海に行く人たちでごった返しの車内は
キラキラと反射する水面に魅せられてみんなが海側を向いている。

「キレーだねぇ」
「そうだな」

休日に同じ風景を見て同じ感想を言い合って
同期なのにこの感覚は初めてで
長い間彼氏がいない私の錆びた感覚を磨いて行くようで

「江の島混んでるかな」
とつぶやけば
「この時期だからな」
と、武藤の顔も見ないのに苦笑いしている顔が目に浮かぶ。
プライベートは良く知らないけど
それでも長い時間隣の席に座って
コイツのエリート街道を突っ走るその腕もキャパも
小さな失敗して悔しがっている顔も・・・
みんな見てきた。

私も見られてきた。

好きになっちゃだめ。

銀座でおねだりをする可愛い奥さんがいるんだから。

江ノ島で降りて外に出れば
強い日差しが照りつけて
「あっちぃ」
肩でおでこの汗を拭く。
なんだかその姿が「男」って感じでドキっとした。



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