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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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-3


「一番上から全部の階を見て降りてこよう!」

武藤がそう言って、吹き抜けの中をエスカレーターで上がる。
交差しているエスカレーターもきれいに建物のデザインの1つで。
空間デザインが凄い。

もともとはホテルだった部分も吸収して大きく生まれ変わった商業ビルは
見るだけでも楽しくて
1階ずつゆっくり見ていたらそれなりの時間になった。

「どうせなら夕飯も食べて行こうぜ」
「は?」
奥さんは?

そう言葉をつなげようとした時

「奢ってやるから」
全く恩着せがましくなく、いつもの意地悪な笑い方でスマホをいじる。

奢るとかじゃなくてさ。

奥さんは良いの?

なんだかその言葉が無粋なようで。
私は無意識に飲みこんだ。

楽しかった今日1日をまだ終わりにしたくなくて
でもそれはいけないことのようで。
気持ちがザワザワする。

別に、武藤の事を好きな訳じゃない。
武藤だって私の事を好きじゃない。

だけど、傍から見ればきっと恋人同士で
楽しく話すその姿はきっと仲良く見えるよね。

彼氏がいない私はこんな土曜日を過ごしていいのか・・・





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