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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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そんな事をしても気まずくならないのがこいつのいいところ。
何事もなかったかのように、バンクシー展の会場まで辿り着いた。

日本初上陸のその絵は世界的にも注目されている絵で
とっても楽しめた。

「楽しかった!来てよかったよ!」
「うん。良かったよな」

こいつは色々な趣味が合う、と思う。
これで、ドキドキして独身なら言うことない。
でもドキドキもしないし、既婚者だって事を忘れちゃいけない。

「お昼予約したんだけどさ。そこでも良いかな」

なんてことない同僚と、プライベートを充実させるためだけの休日に
ちゃんとお昼も予約してくれてる。

「安西の好き嫌いはちゃんと分かってるから大丈夫」
「え?」
「サーモン苦手だろ?」
うん・・・
「前菜を聞いたらサーモンのカルパッチョだって言うからタコに替えてもらった」
う、ん・・・
「ありがとう」
「いーえ」

こーゆーことがさらっと出来る男ってそうそういない。
いい男は早く結婚しちゃうんだ。

だからこの年になって周りを見渡すと、いい男は大抵すでに結婚している。

今更身を焦がすような恋、どころか普通のドキドキする恋すら難しい。




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