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夢と現の狭間の果てに
【OL/お姉さん 官能小説】

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目醒め-5


 気付けば私は右手に握っていたマウスを離して、股を擦っていた。ショーツ越しにクリトリスを擦り、じんわりと濡れた感触を生地から感じる。耐え切れずショーツ脇から指を差し込み直接陰部に指を当てた。
 私は想起する。昨日の痴漢とここに書き込まれている体験談がリンクして──────

 『挿れるよ』

 痴漢が耳元で囁く。私は首を小さく左右に振って否定を示す。

 「あっ…」
 
 ぬるりと異物が膣内への侵入を許した。心だけの拒絶は無視されて、体は簡単に受け入れる。
 男そのものが無遠慮に私を貫き、ゆっくりと進み奥まで達する。ゴツゴツのそれはみっちりと根元まで挿さったまま動かない。膣内で肉の脈を感じる。硬さと太さと長さを知らしめるように、私の中で微動だにしない。ただビクビクと震えている。
 味わってるのかもしれない。私の具合を確かめているみたい。
 後ろから挿れられて、口は手で塞がれて、もう片方の手は乳房を掴まれて、私は為す術も無く…。

 電車の揺れに合わせて痴漢は腰を動かし始めた。ゆっくりと、吟味するように。愛液は私の太腿まで伝う。出入りの潤滑を助けるには余分過ぎるほどの蜜液。溢れ出るそれを意識して止めることは叶わない。

 「んっ…んんっ…あっ」

 体の内側を何度も往復される。内壁をなぞられる。痴漢の指が口をこじ開けて唾液塗れの口腔内までも蹂躙する。口の隙間からは甘い吐息が漏れてしまい、閉じようとするも指が邪魔して閉じることも出来ない。
 奥の奥、子宮を探るように突き上げられる。ガツガツと犯されるわけではない。あくまでも味わうようにゆっくり挿入が繰り返される。腰の辺りがゾクゾクして強張っていたはずの筋肉も弛緩されていく。
 私がいやいやと首を振るのは行為そのものに対しての反応ではない。電車の中で、剰え(あまつさえ)満員という衆人環視の中で犯されているにも関わらず、自分の身体が悦んでいる事に対する自己嫌悪からだ。

 「あっ…いや…いやぁ…」

 ペースが上がる。私のお尻と痴漢の腰とがぶつかる音。こんな形で、名前も素性も知らない男に好きにされて、何で私はこうも………。
背後から抱き締められる。より腰の動きが速くなる。

 「あっあっあっ…!」

 酷く淫靡な音が耳につく。きっと誰かに聞かれてる。私の声も音も。きっと誰かに見られている。私の痴態を。
 そう思うだけで余計に興奮してしまう自分。

 ──────ふと、影がチラついた。天井のライトが “何か” に遮られた。


 私の動きは止まる。
 勿論部屋は個室として区切られているけど、天井部まで仕切りが届いていない。天井と壁の隙間は目見当で凡そ(おおよそ)40,50cmはある様に思う。
 だから、そう。
 その隙間から顔を覗かせることも出来る。

 ぞぞぞっと背筋に悪寒が走った。
 私は今、ショーツを膝上ほどまで下ろしている。右手は捲られたスカートの中にあって、左手はボタンを外したブラウスの隙間へ差し込んでいる。何をどう言い繕おうとも私が自慰行為に耽っているのは明白だ。
 それを隣の人に…見られてる?見られてた?
 すぐに衣服を正して上を確認すればいい筈なのに、私はぴくりとも動けない。蛇に睨まれた蛙という諺があるけど、今の私はそうなのかもしれない。怖くて上を確認することも出来ない。
 幸いにも下や胸は手や服によって隠れている。気になるのはいつから見られていたか。いや、もしかしたら影は気のせいで誰も居ないかもしれない。居なければ見られてないし、居るなら見られている……今も…。

 ぞわっと全身の毛孔が開いた感覚。さっきまで感じていた悪寒みたいなものがキュッと閉じた内股から拡がっていった。



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