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MatchingDIVE
【SF 官能小説】

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広報室-5

♪…………
♪ねぇ 覚えてる 手の温もり

♪そう 忘れない その優しさ

♪ふとした時 瞳に不安が見えると
胸が苦しくなる

♪失う事は辛いけど
あなたの優しさがあるから

♪stay with you
もう叶わないのだから
その優しさに甘えていたい

♪stay with me
もう時は無いのだから
この時を祝福するよ

…………♪

「あれ!?この歌って………
最近よく耳にする歌だよね?」

「ああ!そうだな……」

「この公園で歌っているのかな?」

「公園にBGMは無いだろ?」

二人は歌声のする方へ
引き寄せられていく。

そこで、リサが歌っていた。

「え!?リサさん?……」

歌声が止まり
リサは二人を振り返り見る。

「え!?ああ……広報の方ですね?」

「はい!小林と申します」

「松雪です………」

「これから宜しくお願いしますね」

リサはどこか寂しげである。

「リサさんは
いつもここで
練習しているのですか?」

「リサ……でいいわ
ちょっと眠れなくて
それで出てきたの……」

「そうなのですか……それと!
今歌ってた曲は?」

「私が書いた物なのだけど
先にBGM配信だけすることになって」

「えー!?すごいですね?
自分で作った曲だなんて!?
今あちこちで聴きますよ!」

「ふふふ、ありがと
それから…
敬語も止めましょ?

たぶん年頃も同じ位だと思うし
それに

これからは信頼し合わないと
いけない訳だし……」

「う、うん……
リサって歳は幾つなの?」

「もうすぐ24よ♪」

「小林さんと松雪君は?」

「22……」
「25です」

「ほらね?同世代!
お互いこれからは
タメ口でいいわね?」

「それはいいけど…
リサってすごくスタイルいいわね?」

「ふふふ、それはそうでしょ?
アバターなんだものw」

「あっ!?そうよね?

あの……それから……
とても言いにくい事なんだけども

わ、私達、マネージャーなんて

したことなくって、あの……

どうしていいか分からなくて……」

「いいんじゃない?
私も元々歌手だった訳でも無いし

歌の世界の事なんか
全然、分からないもの」

「ええ!?そうなの?
てっきり大物新人歌手なんだとか
思ってた!

じゃあ以前は何をしていたの?」

「……それはね……
過去の話は止めましょ?

人には話したくない
過去もあるものよ

それより
松雪君はしゃべらないのね?」

「え!?ああ…そうだな…」

「義人はね、元々無口なの」

「そう……義人君って言うのね?

これからは義人って
呼んで良いかしら?」

「ああ、良いけど……」

「わたしはカノンで良いよ!」

「ふふふ、カノン…義人…
これから宜しくね♪」

リサは嬉しそうに笑う。

「実はね
私も不安だらけで
どうしたら良いのか

ぜーんぜん!解らなくて
それで歌わずには居られなくなって

……私にはこれしか
もう道が無いの……」

「そ、そうなんだ……
でも、すごく良い曲よね?

歌詞も何だか切なくて

それなのに
優しい気持ちになるって言うか……」

「そうね……
とても大切な人に向けて
作った歌なの

でも、その人の名前も
何も知らない人なんだけれども

何だかずっと心に居ると言うか

忘れられなくて……

ふふふ、何だか女々しい歌でしょ?」

「そんな事無いよ!
それでその人は今
どうしているの?」

「さぁ?どうして居るんだろうね?

一度しか会ったことが無い人だから
…全然分からないの……」

リサは寂しそうな顔をする。

「名前も?連絡先も?」

「そう!可笑しいでしょ?
でも
その人の事が忘れられなくて…」

「ううん!可笑しくない!

きっとその人もリサの事を
想っているはずよ!

リサがそれだけ想って居るんだから!」

「ふふふ……そうだと良いね♪」

リサは微笑んで居るが
どこか淋しげな表情は消えない。

「それじゃ私はそろそろ帰るわね
デートのお邪魔のようだし……」

「デート!?そ、そんなんじゃ
な、無いよ!

た、ただマネージャーの
お仕事について話し合おうって
たまたま公園に来ただけだから!」

「へ〜そうなの?義人?」

「ああ…そうだけど……」

「ふ〜ん…それじゃ帰って寝るわね♪
おやすみ……」

リサは公園コミュニティから
消えていく。


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