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任務中なのに〜アパート張り込み編〜
【レイプ 官能小説】

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方言-1

坂上は、そのスーパーに入るのは久しぶりだと思いながらガラゲーを取り出す。

『俺だ、今近くのスーパーに居る。そうだ、何か欲しい物が有れば買って行くぞ。』
『遠慮するな。そんな遠慮する仲か。』

と笑う。
電話相手の萩本とは、50年近い付き合いだ。お互い70代半ばで歳も近く、共に妻を亡くし、一人暮らし同士と言う事もあり時たま行き来している。

最近は坂上の事情で中断していたが、この前萩本が遊びに来てくれ今日はそのお返しの訪問と言う所だった。

お互いの家では、子供達の事や世間話をしながら、余り上手くは無い将棋を指すのがお決まりだ。

坂上は、昼飯前と言う事もあり、弁当と萩本が出すであろう酒のツマミを探していた。

弁当コーナーで萩本の好みそうな焼き魚が入ってる物を探していると買い物カートを押して来た若い男がスマホで話しながら弁当を幾つもカゴに入れていった。坂上は、

【俺と一緒だな、これから弁当を持って誰かを訪ねるんだろう。】
【しかし、沢山入れてるな。10個以上ある。】
【友達とかじゃ無く、職場の買い出しかな。】

などと思いつつ、シャケ弁当を二つ買い物カゴに入れる。

【次は、酒のツマミだな。】

と思いながらその場を離れようとした時、その言葉が坂上の耳に飛び込んで来た。

その言葉は、坂上の郷里周辺でしか使われていない言葉であり。上京して50数年になるが、こちらで聞いたのは身内や郷里の知り合い以外では2回目だった。

思わず坂上は、その言葉を発した弁当買い出しの若い男を凝視した。

『ああ、すいません。また、田舎の言葉出ちゃいましたね。』
『ええ、これ位有れば大丈夫ですか?』
『すぐ、帰ります。ハハハ、お腹空きましたね。』

若い男は、坂上が見ているのを全く気付く様子も無く笑いながらカートを押して行った。

坂上は、その若い男を追おとして自分の持つ買い物カゴに気付くと弁当を戻した。それからガラゲーを取り出すと、

『萩本か、用事が出来た。』
『話したろ、俺を騙した田舎の言葉話すヤツ。』
『ああ、このスーパーで田舎の言葉話す若い男を見つけた。』
『後付けて見る。』

と言うとその若い男を追っていく。

若い男は、レジの列に並んでいた。坂上は、カゴを置き場に戻すと若い男がレジを終えるのを待った。

萩本との行き来が途絶えていたのも坂上が詐欺に遭い誰とも会いたく無い程落ち込んだからだ。ガラゲーの着信が鳴る、萩本からだった。坂上はガラケーの通話ボタンを押し、

『何だ、萩本。警察?』
『駄目だろ、相手しちゃくれないよ。』
『同じ方言話すだけじゃ。』
『ああ、分かった。分かった。話すだけ話して見る。』

話し終えるとガラケーを仕舞いながら、

【萩本のやつ、心配症だな。後付けるだけなのに。】
【警察は動かないよ、前に話しを聞きに来た捜査員も方言の話しに興味は無さそうだった。】
【萩本の顔を立て、電話するだけして見るか。駄目なら自分で後付けるだけだ。】

坂上はそう思いながら、レジの若い男を一瞥し財布の中から名刺を取ると、電話番号を見ながらガラゲーのダイヤルボタンを押し始めた。


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