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夢と現の狭間の果てに
【OL/お姉さん 官能小説】

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日常と非日常-6


 私が使用する電車は東横線の代官山駅ではなく、恵比寿駅から出る埼京線である。距離だけを見れば職場から代官山駅の方が近いが、自宅が大宮なので乗り換えを考えると少し遠くとも恵比寿駅まで行き、乗り換え無しで大宮まで行った方が体が楽だ。

 「………………。」
 
 ………とは言っても、この埼京線には欠点がある。それが通勤ラッシュ。本当に酷い時は密着というレベルを超えて、おしくらまんじゅうのように体を互いに押し合いながら宙に浮くような経験もあったほどだ。
 そして今日も例によって汗臭く加齢臭や化粧や香水の匂いが入り混じった密閉空間の中で、私は複数の人に四方から挟まれて身動きが取れずにいた。いつものこととは言えいつまで経っても混雑には慣れない。この空間にはパーソナルスペースなどという上品なものは存在しない。車輌と車輌を繋ぐ連結部にも人が入っているほどだから。

 「………………。」

 そんな中で、やっぱりというか、当然起こるのが痴漢だ。
 埼京線はその混雑率と駅から駅への区間の長さから痴漢摘発数がワースト2位で、1位であるはずの中央線よりも何故か痴漢電車として有名なのだ。
 痴漢に対して私はいつもやり過ごしている。泣き寝入りという表現は当たらないと思う。どうせ軽くお尻を撫でて終わるほどのものだ。名も顔も知らない男に体を好きに触られて不愉快じゃない訳ではないけれど、ただそれ以上に面倒な事が起きるのを私は嫌っている。
 だから。
 そう、だから─────

 「──────っ」

 調子に乗った痴漢は無言を貫く私のお尻を強く鷲掴みした。それまでは控えめに撫でていたその手は、私に何かしらの反応を示せとでも言うように、力強く尻のほっぺたを掴む。
 見知らぬ男の指が尻肉に食い込んでいく。男の握力の強さを感じ、恐怖と…それ以外の感情が心の内側から覗いてくる。
 膝丈の黒いタイトスカートに黒のストッキング。白のブラウスに黒いジャケット。全身ほぼ黒まみれのこのOL然とした服装に欲情したのか、それとも自分に魅力があるからなのか。…そんな訳ないか。
 どちらにしても、少し強めの力で痴漢行為を行われているのは事実で…。

 「ちょっと…」

 流石の私もいつまでも黙っているわけではなく、抵抗の意を口に出す。
 その時、スカートを捲られ、ストッキング越しに尻を撫でられた。驚くのと同時に悲鳴をあげそうになるけど、ここで私の理性は無駄に働いてしまう。私が今この状態で悲鳴をあげてしまうと、このスカートが捲られた状態を周囲に見られてしまうという事。
 痴漢はそれを逆手に取ってスカートを捲ったのだろう。パニック状態の時、危機感よりも羞恥心を選択するであろうと踏んだのかもしれない。事実そうなっていて、私は大声をあげることも出来ていないまま、痴漢にされるがままにされている。

 「ゃだ…」

 男の手は大胆に前にも伸びていき、私の股にまで指を這わせてきた。蒸れているそこに、見知らぬ男の太い指が前後に当て擦られる。
 不快感。ただただ気持ち悪い。本当に男というのは性欲の塊なのだろうと思った。
 はあはあと荒い息を後ろから耳にかけられている。

「…ひっ」

 私は慌てて口を手で押さえた。
 背後から耳たぶを舐められ、つい声が出てしまったからだ。ここで私は我慢なんかしないで叫べば良かった。そうすればこの状況から抜け出せたはず。でも私はそうすることで周囲に痴漢されていることがバレてしまうことそのものに不安を感じてしまったんだと思う。
 それも、痴漢の思惑通りだと知らず…。

「…っ」

 耳が…弱い。痴漢はそこに気付いた。
 耳、首筋、うなじ…と、痴漢は舌を這わせ、私の秘部をも指で捏ねていく。
 やがてストッキングやショーツの中にまで手を差し込んできて、、直接私の割れ目に指を当ててきた。
 耳や首筋への刺激が強く、くすぐったくもあってそこばかりに意識が向いてしまっている。
 どうすることも出来ないまま、私は自分の口に押し当てた手を、指を噛んで堪えていた。

 自分でも分かる。濡れているってこと。
 痴漢の指は愉しむように私の大切なところを弄んでいる。電車の軋む音と小さな声で会話する乗客の声、車掌のアナウンスと……私の中から溢れる水の音。

 ─────五分ほど続いた。
 痴漢の指はきっとふやけるほどに私の体液で塗れている。私の首筋もきっと痴漢のキスマークが付いているほど吸われている。
 ブラウスのボタンも二つほど外されて、空いた方の手が私の胸を揉みしだいている。
 痴漢でここまでされたことなんて一度も無い。こんな事はあり得ないし、あってはいけない。
 スカートは捲られ、ブラウスはスカートからはみ出しボタンも外れ、ブラのホックまで外されている。普通人前では見せられらない乱れた服装のまま、私はそれを許して痴漢行為を受け続けている。
 あり得ない。逃げ出したいという思いとは裏腹に、私の身体は硬直したままなすがままになっている。
 気持ち悪いと思う。気持ち良いなんて思わない。それなのに私はどうして受け入れているのか。ただ一言やめて下さいと強く言えばいいだけなのに。


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