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夢と現の狭間の果てに
【OL/お姉さん 官能小説】

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日常と非日常-5


 「んっ…あ…」

 給湯室手前で足を止める。
 艶っぽい声。衣摺れの音。

 「あ、だめですってばぁ」

 まだ就業時間中である。猫撫で声の主は給湯室内で言葉は相手の男を制してるようでいても、声色に全く抵抗の意思を感じられない。
 私は呆れつつも少し野次馬根性が働き、両手でファイルの束を抱えつつその場に留まっていた。

 「そんなこと言って、本当は興奮しているんだろう?花蓮」
 「興奮なんてそんな…ああっ」

 花蓮という名で合点がいった。
 確か名前は黛花蓮(まゆずみかれん)。他の部署の新人社員だ。身長は148センチと低めで有り体に言うと幼児体型の女。
 男に対して語尾を売り、女に対してはそっけない態度を取るという分かりやすいまでの男好き。
 となるとその相手は─────

 「係長だめ…そこは…あんっ」

 ………やっぱり係長か。私は溜め息を吐きながら頭を掻く。
 田口寛也(たぐちひろなり)。私の直属の上司に当たる人だ。役職は係長で年齢は48歳。既婚者で子供は居ない。夫婦仲は良好だが、この様に若い娘と “そういう関係” を持っている。
 この関係性を私が知ったのは二ヶ月ほど前。たまたまこの二人がホテルから出てきたところを私が目撃したという、何ともお粗末なものだった。目撃したと言ってもかち合ったという訳ではなく、咄嗟に私も身を隠したから私が見たことはバレてはいないはずだ。
 ─────それにしても…。

 「んっ、んっ…あんっ」
 「ほら、私のもこんなに硬くなってるだろう?花蓮のおまんこも涎を垂らして欲しがってるじゃなあか」

 下げていた視線を上に向けて私は壁に寄りかかる。白昼堂々、就業中に給湯室で不貞な不倫行為ですか。世も末だ。
 ピチャピチャとした水音と押し殺された甘い声が給湯室から漏れ出てる。
 あーもう!頭にきた。こっちは仕事中だっていうのに何やってんの?不倫しようがSEXしようが自由だけどTPOを弁えなさいよ!さっきの樋口の件もあって、私はかなりイライラしている。
 そんな私の思いを無視するように給湯室での行為はエスカレートしていっている。

 「あは、係長さん悪いんだぁ。こんなにしちゃって…」
 「花蓮が若くて魅力的だからだよ。ほら、いつもみたいに舐めてくれ」
 「はぁい」

 見なくても今どんなことしてるのかが分かってしまう。鼻の頭を意味も無くつまみ、私は心底呆れるようなポーズをとった。
 また何か水っぽい音と、じゅるじゅると表現するのが難しい下品な音。要は、アレをしゃぶってるような音だ。係長の喘ぎも聞こえるからそれは間違ってないんだろう。

 私は─────否、私が最後にしたのいつだったか。
 あのパンパンに膨み、血管が浮いて、ガチガチになった男の象徴(シンボル)を口内へ迎え入れたのは…。
 溢れ出るほどの唾液で濡れて艶が出るほど吸い付いて、ソレが膣内(なか)へ挿入る準備をする。先走り汁が舐め取っても舐め取っても溢れてきて、私の口の中はその男の色と味で汚されていく。
 頭を撫でられながら奉仕を続ける私と、見下す様にして良い様に私の口を使う男。飲み込んでも口の端から涎が顎を伝い下へと零れる。
 彼の腰も私の口をレイプする様に動き始める。興奮が冷めやらない。鼻での呼吸が追いつかないほどに、より激しく口を犯される。

 「イくっ!」

 給湯室から課長の声が届き、私はハッと我に返った。
 私は……こんな所で何を………。

 「…ん、けほっ、係長…出し過ぎぃ」
 「花蓮のせいだよ」

 そんなやり取りを聞き流す。
 私は無意識的に親指の先を唇へ当てていた。何を想像していた?何を妄想していた?
 慌てるように口から指を離すと、何事も無かった様に装い、私はトイレへ向かった。
 誤魔化そうにも、じっとりと濡れた下着だけは、私の奥底に眠る欲求を表していた…。


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