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慰安未亡人
【熟女/人妻 官能小説】

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夜這い子種-1

 8月15日をもってこの戦争は終戦となったが日本だけでも300万を超す犠牲者を出し、この村でも30名を超す戦死者を出していた。
残された戦争未亡人は八重を含め25名、その多くが20代で八重のような四十を超えた未亡人はまれであった。
「八重さん、気の毒だのう子供に加え連れ合いまで亡くすとは」
「徳太郎の爺様と二人ではせいがないのう、もう少し若けりゃどんな嫁ぎ先でもあろうに」
「なんでも八重さんに夜這いするものがおるらしいがホントかいな」
「わからんぜ、あの器量よしじゃ俺も出来るもんならやってみていがアソコがダメじゃ」

近所の年寄り連中は終戦を迎えて井戸端の話が尽きなかった。

 ある夕刻である、八重は野良仕事を済ませて帰ると信夫が待っていた。
「やあ八重さんお疲れさん・・」
信夫は先日の事はなかった様子で気安く言葉をかけてきた。
「義兄さん何か・・・」
「この間の晩の事だ、実は親父から頼まれたんだ、河田の血を受け継ぐものがいない今お前にしか頼めないと」
「・・・」
「勝がいなくなった後、河田の子種を残すようにと・済まないことをした申し訳ない」
信夫は深く頭を下げた。
「そうでしたか、義兄さんまでご迷惑をかけたんですね」
「親父の事許してやってくれ、このとおりでだ」
信夫は再び頭を深くして言った。
「もう頭を下げないで下さい、義父さんも悪気でなさった事ではないのですから」
八重は野良仕事で使った農具を水で流しながら言った。


 信夫が帰って暫くして徳太郎が帰ってきた。
「今夕飯の支度しますので義父さん待っててください」
「ああ急がんでもいいぞ、さっき信夫とすれ違ったが来たのか?」
「ええ」
「なんの用だこんな時間に」
「なんでもありません、私に子供がいればいいんですけど」
徳太郎は意味ありげな八重の言葉が気になった。

夕食はいつもより一時間ほど遅れていた。
「お前も知っておろうが佐吉の後家などうも次男の進と一緒になるらしいな」
「そうですの・・・でもよかったですね、まだ若いから子供も産めるでしょうし」
「そうだな」
「義父さんごめんなさい、私この年ではもう無理でしょうから」
「そんなことはないぞ、隣の美津ばあやは45で産んだ、八重より年上だ」
「でも私に夫がおりませんし親族の方もいないですから」
「悪かった、こんな話して悪かったな」
徳太郎は酒を飲みながら詫びていた。
「義父さん、信夫さんから聞きました」
「なに・・」
徳太郎は驚いた様子で八重を見た。
「いいんですよ、怒っていませんから、ご心配していただいてすみません」
「知っていたのか・・・」
「先日の晩、信夫さんに抱かれました、驚きましたけど信夫さんと交わりました、勝さんに悪い事したと思いましたが・・・」
「そうか、俺が仕組んだ仕業だ、俺が悪い」
「信夫さんは養子に出された方ですこれ以上ご迷惑はかけれません」
徳太郎はけなげな八重が愛おしいかった。

「八重、俺の子供を産んでくれねえか」
突然の徳太郎の言葉に言葉を失った。
「世間はどういうか知らねえ、でもワシはお前の事が好きじゃ」
「義父さん、お許しください、そんな事は許されません」
「そうかやはり駄目か、そうじゃな義理とはいえ親子じゃ、もう忘れてくれ」
徳太郎は肩を落として言った。

 それから徳太郎は日増しに体力を落とし床に臥せることが多くなった。

「八重、お前いい人がいたら俺に遠慮はいらんどこへでも行け」
食事を運ぶ八重に徳太郎は言った。
「何を言われるんです、私は義父さんを置いて行けません、それに私のお腹には河田家の子がいるんです」
八重ははにかんだ様子で言った。
「なに、妊娠したのか」
「はい、あの晩にできた子供です」
「そうか・・信夫の子ができたのだな」
「ええ、あの晩、信夫さんの子種をいただきました」

八重の言葉を徳太郎は複雑な心境で聞くのだった。

                        おわり

 


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