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淫蜜の媚薬
【調教 官能小説】

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淫蜜の媚薬-3


3

 何をきっかけに意識を取り戻したのか、美桜が目を開けるとそこは薄暗い部屋の中だった。視界の半分ほどはまだおぼつかないが、少なくとも自分の部屋ではないことだけは確かだ。
 それは室内の色の濃淡だったり、空気中に舞う匂いだったり、生理的な直感がはたらいたことによっても判断できた。
 果たしてここはどこなのか、とにかく手がかりになる情報を探さないことには何も始まらない、という結論に至り、醒めて間もない体をちょっと動かしてみる。
 するとどういうわけか、体のあちこちに紐状の何かが食い込んでくる感覚があり、そこでようやく自分が全裸であることを美桜は認知する。しかも、かなり恥ずかしい格好を強いられている。
「えっ? 何これ……」
 すぐ目の前に自分の膝小僧がある。両脚は左右に開き、その状態を維持させるためなのか、目線よりも高い位置にある台に乗ったふくらはぎが、いかがわしい器具でしっかり固定されている。
 もちろん着衣はみんな取り払われているので、乳房であるとか性器であるとか、そういった保護されるべき部分までもが下着を剥がされ露出している。
 両手は万歳した状態で鎖やら手錠やらで繋がれていて、もがけばもがくほど全身に張り巡らせた拘束具たちが牙を剥き、ギリギリと縛り上げてくる。
 おそらく男はアパートの窓が開いていることに気付き、そこから室内に侵入して美桜のことを連れ去ったのだろう。そしてレイプを実行するために外部との接触を断ち切ったのだ。
 美桜が気絶する直前に見た光景を思い返していると、いきなり、頭上からまばゆい照明が降り注いできた。美桜は思わず光から顔を背けていた。
「誰か、そこにいるの?」
 絞り出した声が震える。眉をひそめ、薄く目を開けて辺りを見回す。照明を浴びた美桜の裸体が暗闇の中に白く浮かび上がっているのが自分でもわかる。縦横無尽に肌の上を這う太い縄は鮮やかな朱色で、美桜のことをがんじがらめに緊縛している。
「お目覚めのようだな、お嬢ちゃん」
 あらぬ方向から男の声がした。美桜は肩をびくんと震わせ、繋がれた両手首から伸びる鎖をじゃらじゃらと波打たせる。
「誰?」
 無意味な問いであるとわかった上で美桜は訊いてみる。すると声の主は笑いをこらえるように鼻を鳴らし、「くだらない」と吐き捨ててさらに続ける。
「俺が誰なのか知ってどうする。そんなものは何の役にも立たない」
 男の声が今度は背後から近づいてくる。五十歳くらいだろうか、美桜は中学時代にお世話になった男性教師の顔を勝手に思い浮かべた。女子生徒を見る彼の目は明らかに普通ではなかった。
「ここは、どこ?」
 と、口を突いて出た自分の吐息が太もものあいだを通り抜けてくすぐったい。
「さあ、どこだろう。当ててごらん?」
「ふざけないで!」
 つい、頭に血が上り、美桜は声を尖らせる。
「いつまでも隠れてないで顔を見せなさいよ、この卑怯者!」
「こいつはいい。それでこそ調教のやり甲斐があるってもんだ。そんなに言うなら顔を見せてやる」
 そう言って男は美桜の正面に回り込み、垂れ込める暗がりにぼやけた輪郭を描き足すと、半径二メートルほどの照明の内側にぬうっと入ってきた。
「ごきげんよう、お嬢ちゃん」
 と、美桜の前に男が姿をあらわす。太もも越しに相手の顔を見上げると、異様に赤い皮膚と吊り上がった目、口、そして長い鼻が生えているのがわかる。
 よく見るとそれは天狗のお面だった。目と口の部分には空気穴が空いていて、そこから男の目玉と唇がのぞいている。
「いい眺めだ。こうしているだけでよだれが出る」
 背中を丸めた天狗が美桜の股間をのぞき込んでいる。
「いや、見ないで……」
 美桜はそう言いながらも大事な部分を見せびらかしている今の姿勢を崩すことができない。顔を背け、視線だけを天狗男のほうに向ける。
「こいつは名刺代わりだ」
 挨拶のつもりなのか、男は美桜の正面を陣取ると、天狗の鼻の先端部分を卑猥な割れ目にあてがい、陰湿な動きで女性器全体をまんべんなくもてあそび始める。
「んっ……」
 若さ故の反応だ。天狗の鼻でこねくり回されるたびに体は溶けて熱くなり、けっして口には出さないが、クリトリスの芽を刺激されると膣が疼いて淫らな欲求がふくれ上がる。
「やめ、て……」
 女の粘液を分泌させ始めた膣内に天狗の鼻が入ってくる感覚があり、美桜はどうにかしてその行為から逃れようとしたが、緊縛されていてはどこへも逃げられない。
 異物は、グチュ、とみじかい音を立てて美桜の中にすんなりおさまる。恥丘の下にある女の聖域には、現代の医学でさえ通用しないほど無数の性感帯が未だに隠れている。


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