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ひとみさん
【初恋 恋愛小説】

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思い出-1

地元の公立高校を卒業して地元の会社に就職した。山と海のある自然豊かな土地だが
お洒落れな街からは少し離れている 地味なところだ

私はそこでも目立たない地味な学生時代を過ごした、親友と呼べる友達は居る圭子だ
休日には二人の家を行き来してお泊りしたり
地元にあるファミレスでおしゃべりするくらいだ

会社では事務の仕事をしている20名ほどの小さな営業所に所属しているが
大野さんという大卒の先輩がいる
東京の大学を卒業して地元に戻って来た人だ

面倒見が良くて明るい人、地味な私にも色々と気にかけてくれる優しい人だ

眩しくて話していると元気になれる 私は大野さんを目で追いかけるようになり
色々と知りたくなって会話を聞き耳をたてて聞いたりした

親友の圭子にもストーカーにはなるなよと言われた

「ひとみさんに相談してヒントをもらったよ」
「凄いんだよ ひとみさんは」
「先輩として憧れるよひとみさんに」

大野さんは大学のサークルのひとみさんと言う先輩に良く世話になり憧れて
東京でバリバリ仕事をして良く相談もしているそうだ。
話を聞いているだけで私も憧れる 

(髪が長くてスタイルが良くて、スーツにヒールが似合う大人の女性を想像した)

私が憧れる大野さんの目には、年上の出来る女性ひとみさんがいて
勝てないなぁ〜 ひとみさんの名前が出る度に落ち込んだ

それでも眩しく映る大野さんを目で追いかけ、ひとみさんの名前を聞いて落ち込む
それを繰り返す日々だった、でも楽しかった


地元の夏祭りに会社が参加した時、私は大野さんと同じグループで夏祭りの手伝いをした

大野さんはその時も紳士に私を手助けしてくれた
両手に荷物を持って歩いて居ると持つよと言って一つ持ってくれた

ドリンクを配る時には君はもらったのかと、気にかけ私に渡してくれたり

帰宅が遅くなり車で送ってもくれた


夏祭りの打ち上げで飲んだ時は、席は離れていたけど料理の注文を聞いてくれたり
ドリンクのお代わりをしてくれたり気遣ってくれた
大野さんの話しに何度もひとみさんの名前が出た時は、現実に引き戻された

酔って「ひとみさんが好きだッ」と口にした時はショックでトイレで泣いた


これが地味で田舎暮らしの私のエピソード話です



今は私も結婚して幸せに暮らしています


「名前ですかぁ?」

「今は大野です(笑)」


あの後、泣いてトイレから出てこなかった私を、心配してきてくれたのが大野さん

やけになって直接ひとみさんの事をその時、聞きました
彼は笑って話してくれました

ひとみさんは「本名 人見太郎」憧れている男性だったんです(笑)


私が言いたかったのは、泣くほど追い詰められる前に聞いてみてから泣いたらいい
それが言いたかっただけです。


〜完〜




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