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コシュカの二都物語
【ハーレム 官能小説】

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古傷-1

SPB(サンクト・ペテルブルクの略称)の夏は短い。そこで、ピーチェルツィ(SPB市民)は、束の間の夏を目一杯楽しむため、週末になると、国立音楽院(Санкт-Петербургская государственная консерватория, National Conservatory)の学生たちが主催する野外演奏会でクラッシックミュージックを鑑賞したり、友人、恋人、家族と深夜まで営業するカフェやレストランで、ピーヴァ(ビール)やヴィエナ(ワイン)を飲みながら夜遅くまで語り明かす。だから、飲食業はこの時期が書き入れ時だ。

もちろん、俺のKTVも大盛況だった。しかし、俺は商用ビザでロシアに入国し、正式な就労資格を持っていなかった。だから、店の名義は俺の情婦のターニャにしてあった。

そうこうするうちに、店の入り口に銃弾が撃ち込まれる事件が発生した。犯人は不明だったが、オデッサマフィヤと対立するチンピラたちの仕業と大体察しがついた。もちろん、こんな脅しに屈する俺ではなかったが、「地下営業」の店を、もう一軒出すことにした。

それは、会員制のサロンで、KTVに来てくれた客に名刺を配って案内したり、主に西欧の外国人向けにウェブサイトで宣伝した。事前登録制(偽名可)で、顔の一部にモザイクを掛けて加工した選りすぐりの嬢のヌード 写真と、出勤日時をサイトに載せ、客にはメールで予約させた。一限客には事前に住所は知らせず、最寄りの地下鉄の駅と出口のみを教えて、当日予約時間の30分前に確認メールを送り、客が返信すると、サロンまでの道順と、エントランスのアクセスコードを初めて明かした。

こちらの店は、コーヒー、ソフトドリンクはもちろん、ビール、ワイン、ヴォッカ、ウイスキーなどアルコール類やサンドイッチなどの軽食まで無料のVIP Salonで、選りすぐりの嬢のみを配置し、基本サービス料金は1時間200〜250ドルで、それに、生フェラ、ごっくん、アナル挿入、ゴールデンシャワー、3Pなどのオプションをそれぞれ50ドルで提供し、平均客単価は約320ドルだった。

新しい店の運営が軌道に乗り始めた10月中旬、ほぼ5月前に、アメリカに住む俺の2人の娘のサラとフィービーに、誕生ギフトを贈って貰うために雇ったサンディエゴの弁護士から、連絡があった。

弁護士が所定の手続きに従い、カリフォルニア州の児童福祉局に問い合わせてたところ、ジェニファーの子のサラの消息は判明したが、現在の親権者(ジェニファー以外の者)が、誕生ギフトの受領を拒否したこと、ジャッキーの子のフィービーは、10年前にFoster Parents(里親)によって、国外に連れ去られ、現在消息不明とのことであった。

一体、何のための「里親」制度なのか。悔しさと怒りが、俺の胸に込み上げてきた。俺は、弁護士に「調査費用は全額俺が負担するから、全力でフィービーの消息を追ってくれ。」と依頼した。

一方、華桜(さくら)は、華恋が服役後に取り戻し、現在沖縄で養育しているため、無事にギフトを渡すことができた。しかし、華桜が、12歳だった当時(2000年6月)に俺に宛てた手紙の中で訴えた、2人の姉妹(サラとフィービー)会いたい、という願いは依然として果たせていなかった。

俺は、俺の最初の女たち(ジェニファー、ジャッキー、華恋)と、その女たちが生んでくれた俺の娘たち(サラ、フィービー、華桜)と一緒に暮らすという夢を、まだ諦めてはいなかった。しかし、娘たちが誇れる父親でありたいという気持ちと、女衒紛いの俺の職業や、現在の背徳的な生活などの現実との間の落差に、内心の葛藤と良心の呵責を感じずにはいられなかった。


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