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お姉さまのミリタリー講座
【ガールズ 恋愛小説】

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お姉さまのミリタリー講座〜狙撃編その1〜-4

 C96はお姉さまから聞いた話だと圭先輩の愛銃らしい。
 やっぱりお姉さまの親友だけあって銃の趣味もお姉さまと同じでなかなか渋いと思う。
「それじゃ、行ってくる。」
「行ってらっしゃ〜い。」
 のり子ちゃんの声と一緒に私は圭先輩の後ろ姿を見送った。


「次は由衣の番ね」
 隣に座ったお姉さまが少し遠くで射撃を行っている圭先輩を見ながら口を開いた。
「見ていて下さいね…お姉さま。」
「期待しているわ。」
 お姉さまの姿を見ながら私は思う。
 ―――何故、私と一緒に居てくれるのか。

 お姉さまは文武両道、容姿端麗、家はお金持ちで聞いた所によると華族の血を受け継いでいるらしい。
 しかも、銃の腕が立ち学校ではファンクラブが出来る程の人気者…。
 …まるで私と釣り合わない。
「お姉さま。」
「何?」
 折角隣に居るんだ…聞いてみよう。
「…私で、良いんですか?」
 言い終えてから私が言った事はこの場と全く関係無く、脈絡も無いことに気付いた。
「あの…私が、お姉さまと一緒に居て……。」
 流石に一言だけではお姉さまも解る筈が無い、急いでフォローを入れた。
 私の言葉を聞いたお姉さまは少し考えて、私の顔を見て言う。
「恋人同士が一緒に居てはいけないの?」
 そして恥ずかしい事をさらりと言ってのける。
 いきなり真顔でそんな事を言われたので逆に私が赤くなってしまった。


 しばらくして、撃ち終わった圭先輩が戻って来た。
 今度はお姉さまが双眼鏡を使って圭先輩が撃った的を見ている。
 長い金色のウェーブヘアのお姫様が制服を着ている感じのお姉さまが双眼鏡を覗いている姿は少しシュール。
「モーゼルなのに当たるわね…。」
 見終わったらしいお姉さまから双眼鏡を借りて覗くと弓道に使いそうな的の中心付近に穴が空いていた。 見たところ5cm程度しかズレが無いような気がする。

 以前、お姉さまからモーゼルはトリガーより銃身寄りに弾倉が有るので構えた時に不安定になりやすく、命中精度が良くないと話を聞いた。
 …命中精度が良くない銃なのにこの精度。お姉さまと一緒で、圭先輩も化け物じゃないかと思う。
「いやー、お姉には負けるよ。」
「あら、謙遜が上手になったのね。」
 お姉さまと圭先輩の談笑を聞いていたら次は私の番なのを思い出して私はグロックを手に取った。
 …お姉さまに笑われないように、頑張ろう。


 待合室のような所から出て私はレンジ内の仕切られた空間の一つに入った。
 少し深呼吸して、ちゃんとマガジンに弾が入っているか改めて確認してからセイフティを解除する。
 弾はもちろん入っていたので、私はスライドを引いて薬室に銃弾を入れて前を見つめた。


 ……思い出すんだ、お姉さまに教わった事を。
『腕を真っ直ぐにして、スライドの後辺りに有る二つの突起と、先端に有る一つの突起を横に一列に並ぶようにするのよ。』
 以前教わった事を思い出していたらお姉さまの声まで再生された。
 再生されたお姉さまの声の通りに銃を構える。
『あなたの場合は、反動を計算してやや低めを狙うと良いかも知れないわ。』
 お姉さまのアドバイス通りに的の心持ち下に標準を定める。


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