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お姉さまのミリタリー講座
【ガールズ 恋愛小説】

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お姉さまのミリタリー講座〜狙撃編その1〜-2

 由衣のハンバーグを口に含むと柔かな感触が口の中で感じた。
 刺さるようなハンバーグを食べた後なのでこれが本物のハンバーグなんだな、と改めて思ってしまう。
「お味は…どうですか?」
 何も言わず食べる私を見て不安そうな顔で由衣が味の感想を聞く。
「とても美味しいわ。」
 言葉通り由衣のハンバーグはとても美味しかった。
 なんというか特に何も特別な物は使ってない筈なのに私の舌に非常に良く合うような…。
「まるで私の為に作ってあるみたいね。」
 私がそう言うと由衣は急に顔を赤くしてうつ向いた。
 …何か恥ずかしい事でも言ったかしら。
「お姉さまの事を考えて作りましたから……。」
 急な由衣の変化に思案していると蚊がなくような小さな声で由衣が呟く。
 小動物をイメージさせる由衣の仕草に私は思わず由衣を抱き締めたい衝動にかられるが…。

「そろそろこっちが恥ずかしくなってきたから続きは帰ってからしな。」

…野暮な同級生が口を挟んだ。


 調理実習が終わり、今度は待ちに待った射撃実習の時間。
 予め家から持ってきた銃を担いでシューティングレンジとなる第二校庭へ向かう。
 銃は学校に置いてある物もあるのだが、家に何丁が銃が有って、実習の際には家から銃を持ってきて使う人が大半である。

 第二校庭はこの学校の大半の敷地を占めており、学校を背にして20km程有って一般の人が入る事はまずない。
 これは銃を撃つ場合前方に人が居ない事が条件である為、安全に必要な配慮でもある。
 米国等ではたまに的から外れた弾が数キロ先の人に当たる事故が有るので、こういう「回りに人が居ない敷地」を確保するのも外で銃を撃つ場合の必須条件と言えよう。

 第二校庭に着くと既に並んでいる人達に混じって由衣の姿が見えた。
「お姉さま!」
 私に気付いたのか手を振ってアピールしてくる。
 見たところ班の人は全員揃ってるみたいだ…急いで私は合流した。
「ごめんなさい、遅くなったかしら?」
「いいや、先生も来たとこだし丁度良いんじゃないかい。」
 そう私に言ったのは同じ班の同級生で白石 圭さん。
 縁なし眼鏡にボブカットと、知的な印象を受けるが銃の腕は私と並ぶ程巧みで、言いたい事は遠慮なく言う気持ちの良い性格をしている。
 そのため私と圭さんと話す機会も多く、いつのまにか親友とも言える仲になっていた。
「それよりも…せっかく一緒の班になったんだ、どっちが上手く目標を撃てるか勝負しようじゃないか。」
 そして実習の度、こうして私に勝負を挑んでくる。
「わかったわ、『負けたら購買のケーキを奢る』で良いわよね?」
「ああ…今回は負けないから。」


 今日の授業は25、50、100、500、1000、2000mの距離に有る的を自分の実力を考えて選ぶと言うものらしい。
 途中から変更可、と言うことなので私達の班は短い距離から順に遠くしていく事にした。
「お姉さま…私、上手に出来るでしょうか…。」
 集合場所から25m用エリアに向かう途中で由衣が言った。
 今日は由衣が私の家に来て行った特訓の成果が問われる授業、由衣は緊張しているのだろう。
「今まで頑張ったんだから、上手に撃てるわ。」
 そう言って私は由衣に向かって微笑む。
「はい…お姉さまの為にも、頑張ります。」
 私も頑張らないとね…由衣に恥ずかしい所は見せられないわ。


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