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ブービートラップ
【ショタ 官能小説】

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華恋の手記-1

私の所属する第1海兵兵站群は,1991年3月20日にアメリカに凱旋帰国した。

サンディエゴに帰任すると、私は直ちにGoldstein弁護士に連絡した。そして、23日に面談を予約し、彼のオフィスにて、彼に一任していた一連の民事訴訟の進行状況について尋ねた。

彼は、原告中の1人で、DNA鑑定の結果、私の生物学上の父親と判明した男が死亡した、と私に知らせた。その時になって初めて、私は鑑定費用の出捐については同意したものの、鑑定が実際に実施されたことやその結果が判明したことを知った。

全く、何のために高い費用を払ってまでDNA鑑定を行ったのか?私は納得がいかず、彼に尋ねた。

“How did that happen?(彼の死因は何ですか?)”

“He got killed in action near Dhahran, Saudi Arabia toward the end of February. He was called up for active duty from the reserve to fight in Gulf War. That’s all I know for now. (彼は2月末にサウジアラビアのダーラン付近で戦死したんですよ。彼は湾岸戦争で戦うために予備役から召集されたんです。現在分かっているのはそれぐらいです。)”

“No kidding. I was there, too, and got almost killed when an Iraqi missile hit us right on target. What’s his name? (冗談じゃないわ。私もそこにいたのよ。イラクのミサイルが私たちに命中した時、私も死にかけたわ。彼の名前は?)”

“US Marine Corps Brigadier General Jeffrey Clifford. He was buried at Arlington National Cemetery on March 8th, eulogized by the US President George Bush. (合衆国海兵隊ジェフリー・クリフォード准将です。3月8日に国立アーリントン墓地で埋葬が取り行われ、悼辞は合衆国大統領ジョージ・ブッシュが読み上げました。)”

“This document was prepared by the defendant, sealed and addressed to you.(こちらの文書は、被告によって作成され、厳封され、あなたに宛てられたものです。)”

私が直ちにそれを開封すると、そこには、「自分の罪を認め、被害者と原告に謝罪したい」という主旨のことが簡潔に記されていた。

私の中で、バラバラだったパズルのピースが一箇所に嵌り始めた。

私が提訴した裁判の被告とは、あの、ダーランの爆心地付近で、私の目の前で倒れていた老兵に違いない。本当に彼が私の憎むべき敵だったというのか?もしそれが事実なら、何という運命の悪戯か。でも、確かあの男は、今際のきわに「カレンに、自分の罪の告白」云々と口走っていた。あれはどういう意味だったのか?カレンとは私のことだったというのか?

その時、Goldstein弁護士が、”You know what? An attorney representing the deceased defendant happens to be here now. He says, he urgently needs to talk to you in person. Will you see him? (実は、亡くなった被告の代理人弁護士が、たまたま今うちの事務所に来てます。彼は取り急ぎ、あなたと個人的に話しがしたい、と言っておりますが、面会しますか?)”

会議室にいた私の前に、1人のアジア系の若い男性弁護士が通された。彼が口を開いた瞬間に訛りから日本人だということがわかった。

“I’m Toru Hida, an attorney in charge of our late client’s case. I’m glad to meet you finally, ma’am. (肥田徹と申します。故人である我々の依頼人の事件を担当する弁護士です。ついにお目にかかれて光栄です。)”と言って、彼は私に名刺を差し出した。

私が、「謝花華恋です。日本語でどうぞ。」というと、Goldstein弁護士がそっと席を外し、会議室の外に出て行った。

「こちらが、依頼人の遺言書に記載された、あなたとあなたの母上に関する事項を示した書面です。」

1 現金30万ドルを、娘謝花華恋に遺贈する。
2 現金および株式80万ドル相当の資産を、娘の母謝花華奈に遺贈する。
3 日本国沖縄県北谷町字砂辺237号の土地(450平方メートル)所有権を娘謝花華恋に遺贈する。
4 日本国にある資産の処分の執行に関しては、日本国沖縄県那覇市泊2-3-7「うみかじ法律事務所」當眞直美弁護士に一任する。

「あと、これから私が行おうとしていることは、カリフォルニア州弁護士会規則に定められた守秘義務に違反し、弁護士として職業倫理に悖る行為です。ですが、一人の人間として、私はどうしても座視することができず、あなたに是非読んでいただきたいと思って、ある書面のコピーを持参しました。原本は依頼人が私の大ボスに宛て書いた親展の手紙です。重ねて、申し上げますが、これは私が自己責任で行うことで、当法律事務所とは無関係とご理解下さい。」と肥田弁護士は、言って、私の目の前に直筆の手紙の写しを差し出した。

私は時間を掛けて、それを読み終わった時、酷い目眩を感じた。非常に頭が混乱していた。私は、肥田弁護士に「被告の住所を教えてほしい。」と頼んだ。


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