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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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お持ち帰りされる人妻 (6)-2

 ゆきが手を握ってきたので握り返した。

「汗ばんでてごめん」
「汗かいてるのはゆきの方だよ」
「俺だよ」
「ゆきだよ」

 そしてまた唇を重ねる――私たちが結ばれたあの夜から幾度も繰り返してきた、二人のお気に入りのやり取り。汗をかいてしまうくらいドキドキしていて、それでも手を繋ぎ続けたいと思うほど愛している、そんな気持ちを、控えめに、でもしっかり伝えることのできる優しい時間。

「Fさんとも手を握った?」
「うん……握った……」
 二人は今日、昔よくデートした街で食事をし、思い出の詰まった通りを散歩したのだそうだ。
「歩いてたら指が触れて……手を握られたの」
「拒まなかったんだ」
「うん」
「どうだった?」
「ドキドキしちゃった……」
「嬉しかった?」
「ふふふ……ごめんね、嬉しかったよ……」

 懐かしい場所で懐かしい話に花を咲かせ、やはり昔懐かしい公園にたどり着いた二人は、ベンチでキスをした。

「辛い……」
「嬉しいな。パパがやきもちやいてくれてる……」
「当たり前だろう?」
「パパ……大好き……!」
「なな、なんだよいきなり! ていうかさー、おまえら必要以上にロマンチックすぎない?」
「でしょ? でしょ? ゆきもそう思った! 素敵なデートだなって」
 夫を持つ身としてはとんでもない問題発言なのに、無邪気に喜んでいるゆきはなぜか可愛い。
「まあなんつーのかな。当たり前だけどゆきだっていろんな恋愛してきて、俺以外の男とも素敵な思い出いっぱい持ってんだよなって……」
「……」
「俺の登場しない過去も、ゆきの中では大切な思い出なんだなって……」
「そうだね……」

 ゆきの率直な「そうだね」が胸にしみる。夫婦としての歳月をいくら重ねても、ゆきの中でFとの三年間が消えるわけではないのだ。
 きっと今日だって、私に見せるのと同じ笑顔で食事をして散歩して、手を繋いだのだろう。甘酸っぱい思い出に浸り、くりっとした大きな瞳を潤ませてキスしたに違いない。
 公園をあとにする頃にはもう言葉は必要なかった。二人はまた手を繋ぎ、そうするのが当たり前のようにホテルに入った。

「エッチは……どんな?」
「どんなって、普通だよ」
「まずキスして、抱き合って……?」
「まあ、うん。それから服を脱いで……」
「そこでフェラしたんだ?」
「うん」
「クンニは?」
「された……」
「シックスナインも?」
「しま……した……」
「うぅ、めっちゃ濃厚じゃん」
「……そうかな」
「俺とは最近になってようやくしはじめたばかりなのに……昔からそういうことしてたってこと?」
「それは……内緒にさせて……」
「アナルも触りあった?」
「それも内緒」
「してたってことじゃん!」
「してないよ」
「ああ! ゆき!」
「うふふ……」

 ゆきは可愛くごまかしているが、今日もゆきとFは互いの肛門を愛撫し、舐め回し、刺激しあっていた。他人棒を喉奥深くに咥えながら、Fのアナルを刺激していたことを私は知っている。それら一切のゆきの変態的性行為は、ボイスレコーダーの通信機能により、リアルタイムで私のもとへ届けられていたのだ。

 ロマンチックな公園デートの最後に行ったことを、ゆきは私に語らなかった。さすがに言えないだろう。いちおうもともとは、「性に奥手で激しいエッチは嫌い」というのがゆきの公式設定なのだから。まさか当時の彼氏と二人で公衆便所に入り、オナニーしながらフェラチオ奉仕をしていたなど言えるわけがない。
 たった二度のデートで、ゆきは恋人時代そのままの性奴隷に戻ってしまっていたのだ。

 私が家事を片付け、音声ライブのURLにアクセスすると、ちょうど二人は食事を終えホテルに入ったところだった。それから終電までの二、三時間、愛する女性が他の男と交わる生々しい音と息遣いを聞きながら、私はベッドで一人悶え苦しみ、幾度も精を放出した――。


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