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露出女子高生 石原サクミ
【痴漢/痴女 官能小説】

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サクミと朔太郎-5

駅の医務室でしばらく休ませてもらった朔太郎は、
駅員にお礼を言ってかなり遅めの帰りの電車に乗り込んだ。

ズボンの膝の部分はかなり大きな穴が開いていた。
それ以上に大きな穴が、朔太郎の心には空いてしまったようだった。

(ああ、なんでオレは彼女の連絡先も聞かずに、気を失ったりしたんだろう。)


朔太郎は彼女の顔を見たわけではない。
顔の下半分を覆う大きめのマスクに、彼女の顔はほとんどわからずじまいだった。
(ああ、コロコロ騒動なんかなかったら、彼女の顔を見ることができたのに。)
 いや、彼女がしているマスクが、例の「アレデモマスク?」だったら、
 顔のつくりがしっかりと分かったのに。)

朔太郎の頭の中では、股間を露出しながら駅の階段を上っていた彼女と、
ついさっき、女子高の窓から露出をしていた女子高生とが同一人物だと、
ほとんど断定していた。

超望遠レンズは持っていなかったが、
それでもファインダー越しにのぞいた彼女の姿は、今でもはっきりと覚えていた。

長年ファインダーを覗いてきた結果、朔太郎はその人物の表情や風景を、
カメラのフィルムやイメージセンサーに焼き付ける画像やデータ以上に、
正確に、鮮明に、自分の目に、それを焼き付けることができるようになっていた。

もちろん、より正確な再現を期すのなら、
画像データをパソコンのディスプレイに映し出せばいいことだ。
デジタルズーム機能は、彼の目よりもより正確な画像を拡大し、再現してくれる。

もしあの時、シャッターを切っていたのなら、
家のパソコンで、彼女の顔が正確に認識できるくらいには拡大できるはずだった。
さらには彼が撮影の時には欠かさず持ち歩く超望遠レンズがあれば、
それは光学的に拡大した画像データを残すことができたはずだ。

デジタル処理されたデータを拡大するのではなく、
レンズを通して拡大された解像度の高い画像を、
そのままデータとして取り込むことができたのだ。

いくら高性能なデジタル処理をしても、もとになるデータ量が小さければ、
それほど鮮明な画像は得られない。
でも、あの距離ならば、手持ちの望遠レンズで撮影した画像でも、
デジタル処理によって、彼女の顔のほくろさえ克明に映し出すことができたはずだった。

(超望遠レンズがあれば、あの場でも、かなりの解像度で彼女の顔を確認できたはず。
 いや、それでも、並みの望遠レンズがあったのだ。
 撮影さえしておけば、デジタル処理で、かなりのところまでは解析できたはず。
 ああ、オレ、なんでシャッターを切らなかったんだろう。)

幸太郎先輩や章人、根沢たちと彼女の露出見たさにカメラを取り合うことに気を取られ、
カメラマンを目指す身でありながら、肝心のシャッターを押し忘れたのだ。

(ああ、こんなんじゃ報道カメラマンは無理だな。風景写真でも撮るか。
 いや、それだって、シャッターチャンスをみすみす逃すようじゃ、先が見えてるぜ。)

(そう言えば、中学生のあの時、
 見事なタイミングでシャッターを切ったと親父に褒められたっけ。
 たしか、隣の中学の文化祭だった。
 地味で暗い感じの女の子がメイクされて、振り向いた瞬間のあの笑顔。
 オレはとっさにシャッターを切って……。
 そう、確か親父がタイトルをつけて店のショーウインドウに飾ってくれたっけ。
 この写真のように、千載一遇のチャンスを逃さずにシャッターを切れなきゃ、
 一人前のカメラマンにはなれないぞって親父に言われたっけなあ。)

電車の窓の外に目をやると、街の明かりがゆっくりと後ろへと遠ざかっていく。
(ああ、彼女は、今頃、どこにいるんだろう。チャンスだったのになあ。)

朔太郎の、彼女と連絡先も交わさずに別れてしまったという後悔は、
彼女があの露出女子高生と同一人物だろうという思いからきているのではなかった。

もちろん、彼女があの露出女子高生だとしたら、
朔太郎にとっても、垂涎のチャンスが訪れることになる。

しかし、朔太郎は自分が転んだあの場面での彼女の機転と大胆さ、行動力、
何よりもその優しさに惹かれたのだった。

転んだのは朔太郎の勝手だ。
彼女にぶつかったわけでも、彼女の足に引っかかったわけでもなかった。
彼女を尾行し、結果的には彼女のスカートの中をのぞき見し、
挙句の果てに、あの露出のことを問い詰めようと追いかけたに過ぎなかった。

彼女には、朔太郎のことを、自分の後をつけ、階段の下からのぞき見した変質者として、
駅員に突き出すことだってできたはずだ。
あるいは、朔太郎が転んだ瞬間、これ見よがしに笑い、
捨て台詞でも残して去って行ってもよかったはずだった。

でも、彼女は、朔太郎のことを心配し、傷の手当までしてくれた。
そして、彼女の股間に刺激され、興奮し、
鼻血まで出してしまった朔太郎を助けるため、駅員を呼んできてくれたのだ。

(そんな彼女のことを、オレは一方的に露出女と決めつけて、
 あわよくば、いい感じになって、いい思いをしようなんて考えていた。
 最低だ。男のくずだ。ゲスの極みだ。乙女だ。
 そう言えばあの歌手、何もなかったような顔してずっとテレビに出てるなあ。
 あ、アルアルの岡村も同じか。あいつら、どうせ女を人間と思っていないんだろうな。
 あ、オレも、似たり寄ったりか。)

電車に揺られながら朔太郎は、深い深い自己嫌悪の世界に落ちていった。


偶然、出会い、そして再び離れていくサクミと朔太郎。

二人が再び出会う日は、来るのだろうか。
そしてコロコロ騒動は、いつ終息し、
サクミは以前のように大衆の前での露出できるようになるのだろうか。

1日も早いコロコロ騒動の終息、そしてサクミと朔太郎の再会を祈る…。


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