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物的支援 人的支援
【若奥さん 官能小説】

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-1

数年ぶりに夢に出てきたその日に当人からの連絡が来たので驚いた。あまり虫の知らせや第六感的なものは信用しない性格だが、さすがに何事かと思った。
「久し振りだね、何年ぶり?急にどうしたの?」
冷静さを取り戻そうとしながらも、思った言葉が矢継ぎ早にしか出なかった。
「何をそんなに驚いてるの?まあ大した用事じゃないんだけど、今世間がどうなってるか知ってるでしょ?日用品とか足りてるかなって思って」
「あー、なるほどね。ちょうど今まさに困ってたところ」
「ティッシュでしょ」
「え…」
ずばり言い当てられたことで言葉が出なくなった。昔から俺のことを何でもお見通しという態度は変わらないようだ。
「ほら、ハルキ去年から独り暮らししてるでしょ?だいぶ慣れて来てると思うけど、こういう時のための予備ってまだできてないんじゃないかと思って」
「仰るとおり…」
「だと思った。いやーでもねー、鼻炎も花粉症も持ってないあんたが、どうしてティッシュだけそんなに足りないんでしょうね。10代の男の子の独り暮らしでティッシュだけどうして減っていくんでしょう?」
あまりにも図星過ぎるし、人に隠したい部分を丸裸にされて恥ずかしかった。
「うちの実家、お母さんがいろんなものを大量に買い込む癖があるの覚えてる?お店できるくらいいっぱいあったから持ってってあげる。他に困ってるものは?」
「あぁ、いや。特にないよ」
じゃあ、と通話が切れた。要件というより、自分が喋りたいことだけを喋り尽くすと一方的に電話を切るところも変わってはいなかった。
それよりアキ姉ちゃんが、今からうちに来る。アキ姉ちゃんが住んでるところは車で1時間以上は離れている。それまでに掃除機をかけて溜まった洗濯物を片付けないと、母親にバラされて怠惰で気楽な生活に横やりが入ってしまう。それになにより、別れた彼女が築き上げたティッシュの山をどうにかしなければ。2日前がゴミ出しの日でラストチャンスだったのに。自堕落な性格をこの時ばかりは呪った。
あれこれ考えながら洗濯機を回し、掃除機をかけていると突然玄関のチャイムがなった。電話で話してからも20分経っていない。掃除機を止めると、開けてーとアキ姉ちゃんの声がした。
「うーわ、マジかよ」
散らかった部屋にアキ姉ちゃんをあげることに気が引けたが、久し振りの再会に心が踊った。
「久し振り、大人の顔になったね」
「アキ姉ちゃんこそ…」
綺麗になった、とは言えなかった。
「元気してた?授業大変でしょ?着いていけてる?ご飯ちゃんと食べてる?」
「母親かよ」
「お姉さんだから」
振り向いて笑う顔が可愛く、懐かしかった。両手いっぱいに持ってきてくれた荷物を受け取り、お礼を言った。
「ティッシュだけで良かったのに」
「久し振りに会うのに他に手土産なしだと味気ないでしょ」
手土産と言っても彼女の実家に備蓄されて消費しきれなくなった、期限切れ間近の非常食たちが殆どだった。
「しばらく買い物は行かなくてよさそうだね。ありがとう、助かったよ」
5箱1セットのティッシュを5セットも分けてもらい、近況を語り合いながらその他の荷物も収納していくと、何かが入った紙袋が目についた。手に取ると軽い。
「姉ちゃんこれ…」
「うん、それね…ハルキがティッシュを節約できるようにって持ってきたの」
開けてみて絶句した。
「これ…」
「うん、私が使ってたの…」
女性ものの下着だった。


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