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茂美
【学園物 官能小説】

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ひょんなことから-2

「まって・・・イチロー君」

「ん?なに?どうしたの?」
「あ、あの・・・今、見られちゃった?」

「え?見たって何を?」
「え、えと、あの・・・タオル、タオルを・・・」
「え?ああ・・・タオルを顔にあててたよな。それがどうかした?そういえばさっき借りたタオルと同じのだったなぁ」

「あの、あの・・・あのね・・・」
口ごもり明らかに様子がおかしいが、なんでだか全く分からない。
「あのタオルね・・・さっきイチロー君が使った・・・タオルなの」
「えっ・・・な、なんでそんなタオルで顔を?」
「ご、ごめんなさい・・・わたし、わたし・・・」
「どうした・・・川久保さん・・・そんな、泣きそうな顔して・・・」
「あの・・・わたし、イチロー君の事が・・・イチロー君の事が1年生の時からずっと好きでした・・・だから、だから・・・イチロー君が使ったタオル見てたら・・・無意識の内に・・・あんなことして・・・しかも、まさかイチロー君に見られるなんて。わたし変態みたいなことして・・・」

「え?え・・・ちょっと待って・・・川久保さんが俺の事を?それは冗談でしょ?」
首を大きく横に振りながら
「冗談なんかじゃないよ・・・わたし・・・ずっと、ずっとイチロー君が好きだった。だけどイチロー君には大木さんて好きな人がいるって聞いてたから・・・」

そう。俺は1年の時から大木由美子という子が好きだった・・・でも大木さんには好きな人がいるっていう情報が入っていたのでずっと心の片隅に留めていたんだ。俺と同じ状況だった川久保さんの気持ちは痛いほど分かる。

「なんか・・・信じらんないよ・・・学校でも1,2位を争うような人気の川久保さんみたいな可愛い子が俺なんかに・・・」
「そんな・・・わたしなんか・・・全然・・・」
「でも、いろんなイケメンから告られてるでしょ?」
「でも・・・イチロー君の事が・・・好きだから・・・全部断ってる。これからだって・・・」
「じゃあ好きな人がいるからって全員玉砕してたのは・・・俺が原因?」

黙って頷く・・・

「あっ・・・でもねイチロー君には好きな人がいるのは知ってるから・・・付き合って下さいなんて図々しい事、言わないから・・・」
「図々しいなんて・・・俺だって片思いだって川久保さんは知ってるんでしょ?」
「う、うん。わたしと同じなんだなって・・・」

「あのさ、川久保さんに好きだって言われて言うのもずるいんだけど・・・」
「なぁに・・・」
「さっき・・・川久保さんにタオルで顔ふいてもらって、ホッペ触られて・・・正直イチコロだった・・・」
「イ、イチコロって・・・?」
「調子良いって思われるかもしれないけど・・・川久保さんに優しくされて、ちょっと意識しちゃった所に、ホッペ攻撃で完全に川久保さんの事が・・・好きになっちゃったみたいだ・・・こんなに可愛くて、優しい良い子だったんだって」

「えっ・・・」
絶句して、口を押えて嗚咽し始める・・・

「ど、どうしたっ・・・」
「ご、ごめんなさい・・・イチロー君が、イチロー君が・・・やっとわたしの事見てくれたのが嬉しくて・・・たとえ嘘でもうれしい・・・」
「嘘な訳ないだろ、こんな事、冗談でも言えないよ・・・」
「うれしい・・・」

また泣き出す・・・

「川久保さん・・・こんな俺で良ければ付き合って下さい・・・」
「イチローさんこんな私で良ければ・・・宜しくお願いします・・・」
「こんな私って・・・俺の中では美女と野獣レベルの差があって不釣り合いな気がするんだけど・・・」
「そんなことない・・・わたしの中ではイチロー君が世界で一番素敵な人だよ・・・」
「・・・ありがとう・・・川久保さんの事、大切にするから・・・」
「うん、うれしい・・・」

また泣き出してしまう・・・

「一緒に帰ろうか・・・」
「うん!」
俺は自転車通学、川久保さんは電車通学なので駅まで一緒に向かう。

「あの・・・俺の事、いつ位から想ってくれていたの?」
「高校に入ってすぐだよ。1年の一番最初の席って覚えてない?」
「・・・確か、俺が一番後ろの角で川久保さんはその横だったよね?」
「そうそう、その時はよくおしゃべりしてて・・・色々お話しているうちにイチロー君に惹かれていったの・・・話せば話すほど好きになって。でもイチロー君は大木さんの事いっつも可愛い、可愛いって言ってたから・・・」
「あの時から・・・ずっと?」
「うん・・・席が離れてからはたまにしか話せなくて、でもどんどんイチロー君の事が好きになっていくの・・・つらかった・・・」

「でも・・・今日、勇気を振り絞って声をかけてよかった・・・」
「え?」
「あのね・・・偶然を装って大丈夫って声をかけたけど、ホントはイチロー君だって分かってて声をかけたんだ・・・」

「最近話す機会もあんまりなかったし、このまま夏休みに入って、部活も引退したらもうお話する事も無くなっちゃうのかなって思ったらさみしくて・・・」

「まさかこんな展開になるとは思っても見なかった?」
「うん・・・恥ずかしい所・・・見られちゃったから・・・」
「恥ずかしい?」
「・・・うん、イチロー君が使ったタオル・・・顔にあててるの見ちゃったでしょ?」
「あー、うん、うん。何をしてるのかなって、チラッと思ったけど・・・」

「あのね・・・あの・・・わたしイチロー君の匂い大好きで・・・大好きなイチロー君が使ったタオル見てたら無意識の内に・・・恥ずかしい・・・」
「「えっ・・・俺の匂いなんて臭くないの?」
「全然・・・なんていうのかな・・・ホッとするっていうか、とにかく私の大好きな匂いなの・・・」

話しながら歩いているとあっという間に駅に着いてしまった・・・


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