ゆえとナオさん 未来編-8
そして、
永遠を生きる魔女の美さき。
地球人類の後見人。
異世界種族と人類の間に生まれて、
ゆえとナオと育った。
美しい汎性の人。
ある日ナオから、
全世界に向けてメッセージがあった。
私たち人類は、地球規模の災害に備えて、
また、知的欲求、好奇心に従って、
宇宙に進出すること。
美さきが、
宇宙文明圏からの使者であること。
人類は、
宇宙文明社会の一員となる事を目指すこと。
私たちは、この世界で孤独では無い。
美さきは何もしない。
人類の愚行をたしなめるでも無く、
異世界の進んだテクノロジーを、
伝えることもしない。
どこにでも、
愛猫の黒猫ジャムと共に姿を現し、
ただ、
その綺麗な瞳で人類の行いを観察するだけ。
美さきは、
世界中の思いがけない場所で、
同時に、
端整な姿を見せる。
美さきが争いの場に現れ、
深い悲しみの色を湛えた双眸を向けるとき、
私たちは自省し、矛先を収める。
美さきが災害の場に現れ、
他人同士が支え合うのを見るとき、
私たちは、
自分たちが正しい行いをしている自信に、
自ら勇気づけられる。
The Right Stuff.
私たち人類が、自力で困難を乗り越え、
異世界、
他の星々の文明社会に参加する資格を得る日を、
美さきは辛抱強く見守ってくれている。
私たち人類がその資格を認められたとき、
美さきから、
大いなる秘宝、「アルス・マグナ」を
受けることができるという。
その瞳の奥を、覗き込むことができるという。