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THE 変人
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急展開-2

「ちょっとマリアナシティ行ってくるね?」
瀬奈が言った。マリアナシティとは福岡最大のアウトレットだ。
「ちょっと遠いわね。大丈夫?」
心配する美香。しかしあまりに久々に見る瀬奈の穏やかな笑みに、ようやく元気を取り戻したと思い嬉しくなった。
「天気もいいし、お散歩がてらのんびり行って来るわ。夕方までには帰るね?」
「分かったわ。気をつけてね。」
「うん。」
瀬奈はショルダーバックだけを肩にかけ、シャツにジーンズと言うラフな姿で出かけて言った。
「ようやく一人で出かける意欲が戻って来たわね。良かった。」
胸を撫で下ろす美香。これから瀬奈が望む幸せを応援しよう、そう決めていた。

しかし夕方になっても瀬奈は帰って来なかった。17時を過ぎた頃、少し不安を感じた美香だったが、18時まで待ってみた。しかし連絡もなかった。携帯は持っていない為、連絡のしようがない。焦った美香は康平に電話をかけた。
「瀬奈の部屋に何か変わった様子はないか??」
そう言われ、美香は瀬奈の部屋に入り灯りをつける。中はまるでホテルのベッドメイクが終わったかのように整然としていた。その瞬間、美香は嫌な予感がした。
机の上を見ると、何かが書き置きしてあった。美香は電話口で声を出して読んだ。
「2人の娘に産まれて幸せでした。でもダメな娘でゴメンナサイ。帰って来てからずっと居場所を探してた。私の居場所は大好きなお父さんとお母さんがいる、この家だと思ってたけど、ここは心地いいけど、やっぱり違うと思ったの。お父さんやお母さんの問題じゃなくて、私の問題で、ね。私の居場所はきっと竜宮城なんじゃないかって。私は竜宮城へ行きます。今までありがとう。大好きだよ、お父さん、お母さん。ずっと…」
それを聞いた康平の顔色が変わる。
「マズいぞ!瀬奈はいつ出かけたんだ!?」
「朝の9時頃…」
「朝9時か…、もし移動したなら随分遠くまで行ける時間だな…。取り敢えず警察に電話する!」
「ど、どうしよう…」
美香は怖くなり震えが止まらなかった。
「今から帰る。大丈夫だ、心配するな!」
「で、でも…」
「お前には俺がついてる!しっかりしろ!」
康平は慌てて事務所を出て自宅に急ぐ。
お前には俺がついてる…、娘にはどうしてそう言ってやれなかったのかと悔やむ康平。30分程で自宅についた。

泣きながら取り乱す美香を抱きしめる。
「私がもっと注意してれば…、一緒に行けば…」
「大丈夫だ。お前は悪くない。誰も悪くはないんだ。とにかく瀬奈を…」
そう言いかけた瞬間、康平はある事が頭を過ぎる。
「海斗くんの所か…。」
そう呟いた。


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