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ある資産家の夢
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ある資産家の夢(2020/01/25)-4


「何故、宇宙空間で顔射なのか。
 これは・・・、分かってもらえるとは思っていませんが・・・、
 私にとってはロマンなんです。」
北条が至極真面目な表情で答える。
「ロマン、ですか?」
「ええ、そうです。
 浅葉さん、これから私が言う場面を想像してみてください。」
「・・・・・はい。」
「勃起したペニスがあります。
 そのペニスから、勢いよく精液が飛び出す。
 放出された精液が無重力空間をスーッと漂っていき、
 数メートル先にいる女性の顔にかかる。
 女性は恍惚の表情を浮かべる。」
北条は莉乃の顔をじっと見つめながら話した。
「浅葉さん、どうですか?
 イメージしていただけましたか?」
「はい・・・、
 ・・・・なんとか。」
「それはよかった。
 宇宙空間で射精し、数メートルも精液が飛び、
 女性の顔にかかる。
 これって、すごいことだとは思いませんか?
 これぞ、ロマンです。」
「そ、そうですね・・・。」

莉乃は話を合わせ、疑問に思われる点を質問してみた。

「北条さん、
 すぐそばに女性がいてはだめなんですか?」
「はい。
 女性がすぐ近くにいると、地上で普通に顔射するのとあまり変わりません。
 無重力状態で、慣性の法則に従って精液が数メートル以上も飛ぶ。
 そこがいいんです。」
「・・・・なるほど。
 そういうものなんですね。」
莉乃は妙に感心した。
「さらに、実際には、ペニスの勃起角度、射精された瞬間の精液の速度、
 精液の量、女性との距離、女性の顔の位置等を正確に調べて、
 緻密な物理計算が必要になります。」
「・・・・。
 そうなると、正に実験ですね。」
「そうなんです。
 実験です。
 念入りなシミュレーションも必要になります。」
「うわぁ、大変そう。」
莉乃は思わずつぶやいてしまった。
「ははは。
 莉乃さん、その通りです。
 大変なんです。
 分かっていただけて嬉しいです。」
北条は笑顔で莉乃に言った。

 *   *   * 


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