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ある遺言
【その他 官能小説】

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ある遺言(1998/02/06)-1

哲夫が突然、脳梗塞で倒れた。
病院に運ばれたが手当の甲斐もなく、そのまま息をひきとった。
まだ41歳。働き盛りであった。
彼の妻、静香は28歳の若さで未亡人となった。
 
葬儀の準備のために哲夫の部屋を整理していた静香は、机の中から1通の
遺言書を見つけた。
遺言を読んだ静香はしばし呆然となった・・・。
 
法的には有効な遺言ではなかった。親族からも猛反対された。
しかし、静香は譲らなかった。
哲夫の遺志を尊重し、葬儀は遺言にのっとって行われることになった。
僧侶が来て経を読み、弔問客が焼香をし・・・、葬儀自体は普通のものと
変わらなかった。
違うのは、哲夫の遺体を入れた棺が、弔問客から中が全部見えるように置
かれていることであった。
哲夫の姿を見た弔問客は唖然となった。
棺には哲夫が全裸で横たわっていた。しかも、ペニスを勃起させて。
特別な液体が注入されて、亀頭が丁度真上を向くように調節された哲夫の
分身は、天に向けて屹立していた。
それは大きかった。とてつもなく大きかった。
静香を快楽の虜へと導いた正にそのものが、そこにはあった。
 
「この度は御愁傷様でした。」弔問客がお決まりの文句を言う。
が、静香の耳には入らなかった。
独り密かに、哲夫との狂おしい情事を思いだしていた。



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