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小さな書店
【その他 官能小説】

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小さな書店(1998/01/17)-1

街の外れにある小さな書店。
普通の本屋よりも、成人雑誌が多く置いてある。
麻美はそこでアルバイトをしていた。
 
いつもの少年が入って来た。
お目当てはもちろん成人雑誌。でも、真っ直ぐには成人雑誌コーナーに向かわ
ない。まず始めにスポーツ雑誌、次に音楽雑誌、マンガ・・・。
ゆっくりゆっくりと成人雑誌コーナーに近づいて行く。
麻美はこれが可愛くてたまらなかった。レジカウンターで、手元にある文庫本
を読んでいる振りをしながら、少年の行動を一部始終見ていた。
成人雑誌が置かれている棚の前に少年が立った。
雑誌を手に取り、パラパラとめくり出す。
少年の目線が男のものとなり、淫らな写真に注がれていく。
麻美には、学生服のズボンの前が盛り上がってきたように見えた。
 
少年は数冊の雑誌を熱心に見比べた後、レジカウンターへやって来た。
あらぬ方向を見ながら、麻美の前に雑誌を差し出す。
表紙には水着の女性が写っている。
「600円です。」
代金を支払う少年の指が麻美の手のひらに触れた。
一瞬、少年の手がピクッとする。
麻美は、いつもよりもゆっくりと書店の袋に雑誌を入れ始めた。
半分くらい入れたところで、麻美は手を止めた。
少年が麻美の手元をじっと見ている。
麻美はティッシュを1個取り出すと、雑誌の上にそっと載せ、ティッシュごと
雑誌を袋の中に入れた。
「ありがとうございました。」
手渡しながら麻美はそう言って、少年の顔をちらと見た。
少年はあわてて顔をそらすと、そそくさと出口へと向かって行った。
真っ黒な後ろ姿の中で耳だけが赤く染まっていた。
 


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