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楽園教室
【学園物 官能小説】

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麗子の誘惑-3

急に立ち上がったせいなのか、立ち眩みを起こしたオレはその場に倒れ込んだ。
しかも運の悪いことに、右足をかなりの勢いでひねってしまった。
足を抱えてオレはしばらく動けずにいた。
「センセ。大丈夫?立てる?」
麗子が心配そうにのぞき込んでいる。

オレは足の痛みに耐えながら考えていた。
(確かあの時……そうか、気を失っていたということは………。
 そうか!!じゃあ、オレはまだ犯罪者じゃないわけだ!!!)
オレはガッカリしながらもどこかホッとしていた。

しかし、気を失ったせいなのか頭がズキズキと痛む。
再び麗子の手を借りてようやく立ち上がったものの、足首に激痛が走る。
オレは麗子の肩に手を回し、それにすがりつくようにして、一歩一歩歩いた。

「センセ。ここでいいわ。」
麗子はオレたちの教室の前まで行くとそこで止まった。
「ちょっと待ってて。」
麗子はどこかへ電話をしているようだった。

しばらくすると階段を上ってくる足音が聞こえた。
現れたのは校長だった。
「いや〜。松岡先生。大丈夫ですか?」
「あ、いや、あの……校長先生がなぜ?」
「わたしが呼んだの。学校に電話して。」
「学校に電話?」
「だって、センセ、わたしがわからないって言った算数の解き方、
 教えてくれてるうちに頭が痛いって言って、そのまま倒れちゃったでしょ?
 わたし、どうしていいかわからなくって。
 それで、職員室に誰かいるかなと思って。そしたらちょうど校長先生がいらして。」

「いやいや、松岡先生。こんなに遅くまで生徒のためにありがとうございます。
 大丈夫ですか?歩けますか?」

オレは不甲斐なくも校長と麗子の肩を借り、ようやく玄関までたどり着いた。

麗子はスマフォを取り出し、誰かに電話をし始めた。
しばらくして電話を終えた麗子がいきなり飛びついてきた。
「センセ。今、タクシーを呼んだわ。病院、寄って行こ。」
「い、や、大丈夫。そんな、病院に行くほどの怪我じゃないさ。」
「だって、一人じゃまともに歩けないじゃない。わたしが一緒に行ってあげるから。」
「いや、でも、こんな時間だし。」
「大丈夫。補習してもらってたのはわたしなんだから、わたしの責任だもの。」
「じゃあ、須藤さん。先生のこと、頼みましたよ。」
「はい。校長先生。ありがとうございました。」
「いやいや。ご両親によろしくね。」

麗子は運転手に行き先を告げるとまたスマフォを取り出し、どこかへ電話し始めた。
小声なのと車のエンジン音とでなにを話しているのかは聴こえなったが、
親に電話をしているのは間違いなかった。

電話が終わると麗子がオレの膝に手を置き、言った。
「お母さんに電話したの。
 診察が終わったら家に来てもらいなさいって。
 それから念のために頭の方も見てもらった方がいいって。」
「いや、診察が終わったらぼくはそのままタクシーで帰るから。」
「ダメよ。さっきも言ったでしょ。わたしの責任だって。
 両親もちゃんとお詫びがしたいって。」
「お詫びだなんて。そんな。

おそらくオレが気を失ったのは、おそらくは頭の中での悪魔と天使の戦いが
あまりにも激しかったことが原因だろう。
それともしかしたら、教師として超えてはならない一線を越えさせないための、
ある種の自己防衛本能が働いて気を失わさせたのかもしれない。
オレはそれに救われたのだろう。

いずれにしても麗子の家に行く必然性がオレにはなかった。
「いあや、本当に頭の方は大丈夫だ。」
「じゃあ、足は大丈夫じゃないんだよね?とにかくちゃんと診てもらお!」

オレは結局麗子に言われるまま、外科を受診した。
夕方診療時間ギリギリの外科はかなり混んでいて、オレたちはかなり待たされた。
待合室では麗子が再び話し始めた。

「……でね、もしもさっき、グジュグジュをしてくれてても、そこまでだったんだよ。」
オレは思わず周りを見回した。誰かに聞かれたらうわさ話になってしまうだろう。
「センセ。大丈夫よ。別にみんな驚かないから。」
「いや、でも。」
「じゃ、これ、使おうか。」

麗子は自分のスマフォを取り出し、オレのアドレスを聞いてきた。
そうか。これなら誰にも聞かれることはないか。
多少面倒だが、これはなかなかいい手かもしれなかった。

《処女なんだ。》          〔だれが?〕 
《わたしが》            〔そりゃあまだ〇学生だもの〕
《理由は聞かないの?》       〔〇学生だから当たり前だろ?〕
《〇〇歳になると心づけが高額なの。》〔心づけ?〕
《センセには無理よ。》       〔無理?〕
オレは麗子の顔を見た。
麗子は黙って頷いたが顔が少し悲しそうだった。

《若菜のお姉さん、知ってる?》   〔いや。〕
《前の校長先生が手を出したの。》  〔?〕
《しちゃったの。セックス。》    〔???〕
《センセも気を付けて》       〔いや、オレはそんなこと…〕
麗子がオレの顔を覗き込んだ。

《母親、手が空いたって。》     〔いきなり伺って平気?〕
《大歓迎。センセ、母親のタイプだし》〔タイプ?〕
《好きってことよ。》        〔???〕
《母の予定次第だけど。》      〔何が?〕
《抱けるよ。》           〔???〕

麗子がさっきよりももっとオレの顔に接近した。
ようやく順番が来て、オレは診察室に入った。
状況を話すと、念のため、頭と足のレントゲンを撮るという。
結果が出るまではまだしばらくかかりそうだ。
オレたちはまたまどろっこしい会話に戻った。


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