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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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12月:クリスマス-8

その街並みはまるで絵本のようで。

ページをめくったように、いつもの街並みとは違っていた。
どこもかしこもキラキラして可愛い。
早い日没はマーケットの一帯のライティングをさらに煌めかせた。

積もる程ではない雪はマーケットの煌めくライティングでキラキラと揺らめきながら舞い落ちている。

あぁ・・・

その背中を見つけてじわっと身体が熱くなる。
この人が好きなんだと、自分の選択に嬉しくなった。

「小川くん!」

ドイツ語に交じってヨーロッパ中から集まった観光客たちの会話の中でも
日本語はあまり聞こえてこなくて。
私の放った言葉は、すっと小川くんの耳に届いたようで

数メートル先に居た小川くんが一瞬間を置いてこちらに振り返った。

「ほのか、さん」

人の波をすり抜けて、小川くんに駆け寄った私はそのまま小川くんに抱きついた。

小川くんは右手に持っていたグリューヴァインをほんの少しこぼして
それ以上こぼさないように抱きついた私から遠く離すように右手をあげる。

「ビックリした。なんで?」

笑いながら隣に居た晃が小川くんのグリューヴァインを受け取った。

「え?何?」
それでも状況が飲みこめない小川くんは私たち3人を見比べる。


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