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永遠の契り
【熟女/人妻 官能小説】

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永遠の契り-2

2.九死に一生
 より精密なPETスキャン、バイオプシ(生体組織検査)と、癌を前提とした検査が続いた。
 バイオプシの検査中、目の前のディスプレイに、肋骨の間を生体組織を取る針がクッックッッと進んでいくのが見えた。目標の影は、思ったより小さい。針が目標に到達すると、針が揺すぶられて、生体が削り取られた。
 死ぬのは惜しくはないが、今まで健康に気を付けて、このまま行けば百歳も夢ではないと思っていた矢先のことだった。人一倍健康で、誰からも若い若いと言われてきたのに、何か騙された様な気がして仕方がない。折角健康な身体だから、手術で切り取るとか、何か方法は無いものか?一年半でこの世をおさらばすると宣告されて、今更ながら命とは何なのかと思う。
 親に頼んで産んでもらった訳ではない。特別な目的も無いまま生まれ、人並みに歳をとってきたが、振り返って見ればそんなに悪い人生ではなかった。それが終わるとなると、これ迄の平凡な日々が何とも愛おしい。
 二日経って、担当の専門医から電話が入った。
「賀川さん、良いお知らせです。癌ではありませんでした。何かのバクテリアの感染による炎症のようです。入院して、今から抗生物質の点滴による治療に入ります」
 医師の話によると、エックス線やCTスキャンでは、癌と炎症の区別は付かないらしい。すっかりその気になったのに、何だよ。でも、正直嬉しい。死なないんだ。
 点滴は、上腕から血管に細いパイプを心臓まで通して、抗生物質を流し込むという。手術室に移って、上腕部から血管の中に細いパイプを通した。
一日三回、早朝、深夜にお構いなく、八時間毎に看護師さんが点滴の袋を換えに来る。一回の点滴時間は約三十分。
 点滴を始めて暫くすると、下痢が始まった。抗生物質により、腸内の細菌も死んでしまうので、腸の粘膜が痛めつけられ、消化活動が妨げられるという。
 発病の暫く前から体調が悪く吐き気がして食欲が無く、体重が減ってきていた。それに加えて下痢が始まって、体重は目に見えて減り始めた。腸内細菌を保護するために、プロバイオテックを飲むことにした。このままでは、病気で死ぬより前に餓死をしてしまう。
 こうなったら体力勝負だ。食欲のない胃袋を叱咤激励して、食べることに専念した。食べたくないのに食べるのは正直苦痛だ。楽しいかるべき食事の時間が、まるで拷問のように思えた。
 病室は初めは個室でバストイレ付き、ちょっとしたホテル並みだったが、相変わらず続く検査の結果、感染の心配無しとなって4人部屋の一般病棟に移された。
 今まで窓から見えていた周囲の緑が消えて、隣接のビルの窓しか見えない。唯一の慰みは、タブレットから流れるYoutubeの好きな音楽と動画だ。便利な世の中になったものだ。
 二週間の点滴を終えて、さらに二週間のタブレットによる抗生物質投与が続く。
 ずっと飲み続けてきたプロバイオテックのお陰か、下痢が収まる兆候を見せ始め、食欲も出てきた。
 よしっ、峠は越えた。


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