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ひと夏の女神たち
【ファンタジー 官能小説】

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淫乱瑞希の正体-2

「そうか。それは可哀そうだ。じゃあ、こうしてやるよ。」
利夫は瑞希の腫れあがった乳首を指でつまんだ。

「どうだ?こうされるのは?」
「い、痛い。痛いわ。ねえ、もっと、そっと、あ、あ、だ、め、痛い。」

「ほら、忘れているんじゃないか?手が遊んでるぞ。」
「ああ、ごめんなさい。ちゃんと触ります。」
「サボっていた罰だ。」
利夫はそう言うと、再び乳首を摘まみ、そのまま引っ張った。

利夫は完全に自分のペースになってきたことを実感していた。
(初めて会った時からずっと瑞希のペースで言われるままだった気がするが、
 こいつが本当にМなのなら、思いっ切り虐めてやるか。)

もともと、利夫にSの気はなかったが、
今、瑞希が泣きながら懇願している様子を見ていて、
心の奥の方からもっと虐めてやりたい、もっと辱めてやりたいという欲望が、
沸々と沸いてきたのだ。
しかしこれ以上虐めることがどういう結果になるかはわからない。

利夫の住む島には若い娘が少なかった。
限られた若い娘を島の男たちが取り合う。
女たちの意志はほとんど尊重されず、
男たちの力関係ですべてが決まってしまうことがほとんどだった。

利夫が見初めた女たちは、もう既にほかの男たちのモノになっている。
年功序列と言うわけではないが、年齢が上の男ほど財力もあり、
島における地位も当然に高かった。
利夫のような若いものに年相応の女を抱くようなチャンスはほとんどなかったのだ。

1年に1度、3日間行われる島の祭りの時だけは、
既婚者も未婚者も関係なく、その時の感情のままに相手を選び、一夜を共にできる。
【しまくり祭り】だ。
【しまくり】の意味は、言葉の通り《しまくる》祭りだとも、
島中のクリトリスが解放されるから《島クリ》だとか、
いろいろな言い伝えがあるがどれも定かではない。

ただ現実として、利夫のような若い男たちにとっては、
年に一度の大チャンスであることに間違いはなかった。

なぜならば、この祭りの時ばかりは全ての選択権が女に与えられていて、
女が望みさえすれば島の男たちのだれとでも寝ることが出来たのだ。
男女とも既婚者、未婚者を問わずに、まさに言葉通りの誰とでも寝ることが出来る。

男たちはこの日のために働いてきたと言っても過言ではなった。
日頃から女に優しくしたり逞しいところを見せつけてきたのも、
この日、意中の女からの指名を得るためだ。

利夫の見初めた女の一人も、利夫の日々の努力もあってか、
去年は利夫と寝ることを選んでくれた。
ただ、それもおそらく今年で終わるだろう。

利夫以上の財力と魅力を備えた男が現れたからだった。
魅力に関してならば利夫だって負けてはいないと思っている。
ただ、財力だけはどうしようもない。

親から受け継いだ秘密の漁場で毎日大量の魚を上げる安倍晋二が、
とんでもない財を成したのだ。
決して美男子でもなければ逞しくもない、安っぽい男なのに、
ただ有力者の二世で、金を持っている言うだけで、
利夫をはじめとする若い男たちは負けを認める他はなかった。

瑞希がそうしたことを知っているのかどうかは定かではなかったが、
そんなところに現れたのが瑞希だった。
瑞希は自分から利夫を求めてやって来た、
またとないセックスのパートナーだったのだ。

これ以上に瑞希を虐めることで瑞希を失うことも考えられた。
短い時間の葛藤があった。
しかし利夫は思い切って賭けに出ることにした。
(よし。瑞希はとことんМに違いない。苛め抜いて完全に俺の奴隷にしてしまおう。)

利夫は不意に立ち上がった。
「そろそろ帰るぞ。」
そう言って、瑞希から離れようとした。
「ま、待って。どうしたの急に?」
「いや、ちょっと用事を思い出しただけさ。」
瑞希の顔色が変わった。

瑞希自身も自分と利夫の位置関係が自分が強い愛撫を受けるたびに、
少しずつ変わってきていることには気づいていたはずだ。

この前はそうならないためにも無言を貫いてきた。
口をきいてしまえば自分の性癖について話してしまうことはわかっていたからだ。

瑞希は利夫に対しては自分がリードしたかったのだ。
だからわざわざ、自分のことを知る男がいない利夫の島までやってきたのだ。

今、利夫を失えば自分は島に戻って、今まで通り島の男たちに隷属しなければならない。
といって、ここで利夫にすがってしまえば、
今度は利夫に従わなければならなくなるだろう。

いずれにしても瑞希は誰かの慰み者になるしかない。
どうすればもう一度、自分が利夫に対して優位なポジションに立てるだろう。
瑞希は考えた。

「そう。じゃあ、これで終わりね。」
瑞希は瑞希で、賭けに出たのだ。

勿論、お互いがそんな賭けに出たことなど、どちらも知る由もない。

瑞希なりに考えた結論だった。
瑞希は自分の島での男たちに隷従するような生活が嫌で島を出たのだ。
たまたま漁場で見かけた利夫。
瑞希の好きなタイプだった以上に、海の上では他の男たちに比べて気弱に見えたのだ。
(利夫だったらわたしの思うままに従えることが出来る………。)
そう思って利夫の前に謎の女として現れ、強烈な印象を残して去ったのだ。
そして利夫が自分を探し出そうとしていることを確認し、利夫の前に現れる。
おそらく利夫は感激し、自分の言うことなら何でも聞くようになるだろう。
瑞希はそう計画したのだったのだが、少しばかり計画が破綻しかけてきていた。
ならば起死回生。一発逆転にかけるしかなかった。
利夫の自尊心を傷つけることで負けを認めさせるのだ。


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