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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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11月:酉の市-1


2人の間で揺れていないと言ったらウソになる。

遠距離だけど好きな小川くん。
だけど、私はドイツでの彼を支える事は出来なくて。
それを出来ると言いきるあの女性の存在が私の中で小さくない存在なのは認めたくない事実だ。

遠距離だけど好きな、は・・・

言いかえれば、好きだけど遠距離で。

物理的な距離は私たち個人ではどうにもできない。

その物理的距離を易々と超えて来るのが秋田さん。
近くで私を元気づけてくれる。
そしていつでも手をつなげる距離にいる。

遠距離って、思った以上に寂しい―――

いくら文明が発達して、電話が出来るようになっても。
メールが出来るようになっても。
テレビ電話が出来るようになっても。

手をつないで、抱きしめ合って、キスして…
相手の体温を感じる事が出来なければ、それは寂しい。

我儘なんだろうか。

時間さえ同じじゃない。
星空が綺麗ね。と話したい時に小川くんの見ている空は昼間の太陽で。
小川くんが夕日がきれいだね、と話してくれた時に私が見ているのは夢だ。

せめて同じ国内ならば・・・
天気が違うだけなのに。

国が違うだけで、時差が大きくあるだけで・・・
私たちは観ているモノが違いすぎる。

「地球って大きいなぁ・・・」

ぽつりと吐き出したその言葉に、葵が苦笑いして
青木が視線を逸らした。



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