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想いの届く日
【幼馴染 官能小説】

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想いの届く日-5

5. 妊娠
 美代子から、手紙が来た。
<初めて女の悦びを知りました>と書いてある。さながら新婚初夜を夢のように過ごした花嫁が、愛する男との交わりで晴れて妻となった嬉しさが溢れるような、喜びの言葉が続いている。

 あの痛い経験が、女の喜びなのか?
 挿入が不成功に終わったことが、分かっていないのかも?
 痛い経験で、二人が結ばれたと思っているのかもしれない。
 直ぐには結婚できないと断っているのに、まるでもう妻にでもなったような喜びの文面に、僕は当惑した。


 返事を出しかねている内に、また手紙が来た。
<妊娠しました。生理が止まっています。どうしたらいいでしょうか?>
えっ???
 コンドームを被せ、挿入もしていないのに、妊娠する訳がない。そんな生々しいことを赤裸々に書く気にはなれない。
<妊娠しないように気をつけたから、大丈夫、暫く様子を見てください>と書いて手紙を出した。

<未だ生理がありません。心配なので母に話しました>
 何?お母さんに話した?もうお母さんに話してしまった?
 お母さんとは、もう顔を合わせることも出来ないじゃないか。
 未だ学生の可愛い娘をホテルに連れ込んで、処女を奪った上に妊娠をさせられた。そう思われても仕方のない状況だ。

 妊娠するはずが無い。

 戸惑いと気まずい思いから、手紙が来ても返事を出さずにいた。

 二人の中は自ずと疎遠になった。可哀そうに思ったが、今更なんと言い訳が出来ようか。お嬢さんを傷物にしました。申し訳ありませんが、結婚は出来ません。

 誕生日に、銀座の田屋のネクタイが送られてきた。
「私が子供でした」と言う後悔の意味の言葉がカードに書いてあった。
 
 様子を察した母から、「その気が無いんだったら、ちゃんと断らないと却って娘さんが可哀そうだよ」と言われてしまった。

 返事を出すと、当然、結婚の話になってしまう。可哀そうだが、まだその決心は付かなかった。



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