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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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ネット・ネット・ネット-1

ネット・ネット・ネット

インターネット。人々の暮らしに今やなくてはならない、この上なく便利な、そして曲者の近代技術。

風俗、〇〇(さぁ貴方も行きつけのお店や風俗街の名前を入力してみよう!)なんてカタカタとタイピングすれば、めくるめく広がる、ピンク・ピンク・ピンクの世界。
それはそれはイメージ良く仕立て上げられた数々の風俗ホームページが貴方を迎えてくれるだろう。

わたしが風俗の世界に入った頃から、風俗嬢たちや店長さんなどのブログも盛んになりつつあった。
そしてあれが、どうしてなかなか舐められない。チェックしている人の多さよ。ブログを一日1回(徹底しているところは数回)あげなさいよと義務づけられているお店だってある。それほどブログを見ている人は多いのだ。
お店や自分の常連客はもちろん、まだ利用したことのない人や興味本位の人まで、その閲覧人員は多岐にわたる。ブログを見てたよと、それが理由で遠方はるばるやってくるお客様だっていたりするのだ、侮り難し。
お店の女の子同士だって、(時にはお店をまたいで)実はチェックしている。
大体の新人さんの、義務とも言える。こなれた嬢にも、自分を魅せる(お客様にアピールする)毎日のチャンスだ。
わたしもご多分に漏れず、ブログを毎日書いている嬢だった。顔(一部隠して)や、ペット、出かけた先の風景、ハマっている食べ物などなど・・・本当に数えきれないほどの記事をアップしていた。今思えばお疲れ様である。
時々知らされるアクセス数や、風俗総合サイトに掲載されるブログランキングなんかもチェックしていた。ひょっとしたら、この文章を読んでいる貴方も、わたしのブログを見たことがあるかもしれない。やぁ、久しぶり。

てなわけで、ブログは嬢最大のアピールの場であると同時に(時にはお店のプロフィール画面よりもお客様からの信頼度が厚い!)最も炎上しやすい場でもある。
あの嬢がブログであんなことを書いていた、言っていた、あんな場所に行った云々・・・普通の人だったら気にも留められないことをいちいち叩かれる場所にもなり得るのだ。
そしてそれは、また別の風俗サイトの誰でも書き込める場で、匿名性の狂気を帯びて根も葉もない噂と共に、まことしやかに語られる。それをまた多くの人が、見る。
気の小さいわたしは、最初に自分の悪口(誹謗中傷ってやつだ)を見つけた時、こんなことを書く人が本当にいるんだと根拠の無い書き込みに口をあんぐりさせた。怒りはあまり湧いてこなかった。ただただびっくりしたのだ。
そしてその悪口は、お客様の誰かである可能性よりも、同僚である嬢の仕業である可能性が高いことを知らされた時も、自分はそういうことが本当にある世界の住人なのだと改めて面食らった。
普段はニコニコ話している同じお店の嬢が、控え室で舌打ちしながらそれを書き込んでいる姿は、あまり想像できなくて(したくなくて)わたしは深く追求したり考えたりしないでいた。
あるお姉さんに相談したら、あらー、そんなの有名税よ。売れてくると妬まれて叩かれるのよとコロコロ笑い飛ばされた。そんなものか、と安直なわたしは(だけどやっぱり小心だ)時折そのサイトの動向を探れど、深刻に悩みはしなかった。本人がからっとしている(ように見える)と、ターゲットは他に移るのか4.5件もそんな書き込みやレスが続くと話題は他の嬢やお客様叩きに移って行った。
そんなふうに、うつろいやすくも、人の心に杭を打ち込む場だったことは確かだった。

そんなふうに、色々あるのがインターネット。他にも風俗嬢のインタビュー(ライターさんと面接みたいにインタビューがあって、それが記事になるのだ!)や、お客様が書き込む実際のプレイ体験談投稿なども、閲覧者は油断できないほど多い。
とても便利で、だけど時折わたしたちの首を絞めるインターネット。
依存者が多いのも頷ける。わたしもある意味立派なユーザーであり依存者だったのかもしれない。
今もこうしてインターネットで文章を書いているしね。
貴方は、インターネットとどんな付き合いをしている?
もしもお気に入りの嬢の悲しい書き込みを目にしても、鵜呑みにして信じる前に、自分の目を信じてあげよう。そしてちょっとだけ、嬢を信じてあげよう。いつも見ている嬢の姿を、信じてあげよう。
匿名性の高さは人を嘘つきにも、普段の何倍も気の大きい人間にもする。
そのことを頭の片隅において、インターネット生活を楽しんでほしいな。
そして、楽しい愉快な色っぽいたくさんの記事に心躍らせ、パネルマジック(インターネット上にもある。困ったもんだね!)をものともせず快感の世界へとダイブする気持ちを奮い立たせてほしい。
インターネットとわたしたち嬢は、そんな貴方のそばにいます(はぁと)


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