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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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本番に向けて 合宿1日目 その2-1

全体ミーティング開始時刻の10時には、
全員がラフな格好に着替え、
ロビーに集まっていた。

「おいおい。どうしちゃったんだ?全員が定時にそろうなんて。」
「確かに。遅刻常習犯の健までいるもんな。」
将暉と旬にからかわれた健が、流星の頭を叩きながら言った。
「そりゃあ、あのタイミングで館内放送。誰だって慌てて着替えて飛んで来るだろ。」
「えっ?健、お前、あのアナウンスがあってから着替えたのかよ?」
「じゃあ、その前の1時間近くは何してたんだよ?」
「そういうお前はどうなんだよ?」

「また、男どものバカ話。」
いつもの調子に戻ったジュンコが言った。
とはいうものの言葉にはいつものとげとげしさがない。

「そう。そもそも何してたかなんて聞かなくったって、わかるじゃんね?」
鈴が華に同意を求めた。
「えっ?わかんないよ。って言うか、あんた部屋、間違えたでしょ?」
「間違えたのはあんたの方でしょ?」
「で、そのまま1時間過ごしてたわけ?」
「あんたもね。マ、済んだことは仕方ない。」
「そうそう、間違えは誰にでもあるからね。ところで、鈴は何してたの?」
鈴は思わず顔を赤らめた。
「そりゃあ、若い男女が同じ部屋にいたら……決まってるじゃん。」
「トランプ!」
流星の頭をジュンコが叩くいたが、心なしかタッチがソフトだった。

「え〜と。」
愛依がみんなの前に立った。
「みんな、約束の時間に来てくれてありがとう。」
「あの放送、愛依だろ?遅れるわけにはいかないじゃん。」
健が髪をかき上げながら言った。

「何、カッコつけてんだよ。」
将暉が少しあきれ顔で言う。
「長野さん、短い間にずいぶんしっかりしましたね。」
松がジュンコに話しかける。
「たった1日なのに、人間て変われるもんだね。なんか、言葉も自信にあふれてる。」
ジュンコには何よりもうれしいことだった。

「今から全体ミーテイングを始めます。
 え〜と。内容はこんな感じです。」

愛依が広げた模造紙は全部で3枚。
細かく丁寧な字で、これからの予定や注意事項などが書かれていた。
いったい、いつの間にこれを…
誰もがそう思う中、倫也だけは一人納得していた。
(そうか。愛依ちゃん、これを書いていたんだ。それにしてもよくあんな短い時間で書けたなあ。)

倫也はその模造紙に近づき、改めて愛依の凄さに感心した。
(6日目の部屋割りまで書いてある。それに1日1日の予定に関してはA案B案C案ま
 で。あいつの頭の中ってどんな構造してんだ?)
それぞれのメンバーが、自由に予定表を見ている中、華と鈴が愛依のところへ駆け寄ってきた。

「愛依。ごめん。ちょっと話があるんだけど?」
「えっ?何かまずいところでもあった?」
「いや、まずいところって言うよりも。。」
「ごめんね。愛依。わたしたち、部屋、まちがえちゃってさ。」
「そう、わたし、健の部屋だと思い込んでて。で、そのまま。」
「わたしもシャワー浴びたくて慌ててたせいか、将暉がいたからびっくりして。」

「あ、部屋、間違えた。そ。」
「ごめね、愛依。で、なりゆきでそのまま。。」
「あ、そ。間違えたのか。」
「愛依。なんか、問題、ある?」
「いや、問題。そ、いや、うん。わかった。平気、だと、思、う。」
「ねえ、鈴。やっぱまずかったのかなあ?」

「あ、大丈夫。何とか、する、から。」
愛依はその場で固まっていた。

一方、旬も部屋割りのところでくぎ付けになっていた。
しばらく何かを考えているようだったが、やがて愛依を手招きした。
「旬君。どうかした?」
「なあ、愛依。ちょっと、相談があるんだけど。。」
「何でも言って。そもそも、これはわたしが一人で考えた原案、って言うか、
 例って言うか。。絶対にこれ!っていうものじゃないから。
 意見があったら、どんどん言って。」
「ああ。ただ、みんなには聞かれたくないと言うか。。。」
「みんなに聞かれたら、まずいこと?」
「いや、まずいって言うか。。でも、もう、始まってるんだもんなあ。」
旬は辺りを見回しながら、戸惑っていた。
(ここで愛依に頼んで、愛依がわかってくれたとして、
 今日、この後の部屋割りを変えるなんてことになったら、
 理由を教えろってなるよな。普通。
 みんな、それぞれのパートナーと、
 そのつもりの1時間を過ごしたんだもんなあ。
 それに、理由を言うったって、
 そんなことしたら、絶対にやめてくれって言うだろうしなぁ。あいつ。)

「どうしたの?黙っちゃって。」
「あ、うん、いや、えっと。。やっぱり、いい、や。。」
「旬君らしくないよ。おとなしいけど、いつも最後まで粘るタイプじゃん。
 何も言わずにあっさり引き下がるくらいなら、初めから言わない方がいいよ。」
愛依は怒っているわけではなかった。
旬には旬らしくいて欲しい。それだけだった。

「だよな。言い出しちまったんだよな。」
「そう。考えたんでしょ?旬君なりに。その結果、話そうと思ったんでしょ?」
「ああ。それはそうだけど。」
「だったら最後まで言いなよ。それが旬君でしょ?」
「・・・」

突然、愛依はホワイトボードに張った予定表を取り外し、丸め始めた。
「おいおい、どうしたんだよ。」
「長野〜。まだ、見てる途中だぞ〜。」
「愛依ちゃん、どうしたのさ?」

愛依はみんなの方を向き、すまなそうな顔をしていった。
「みんな。ごめん。よく見たら、間違いばっかりだった。」
「なんだよ、間違いばっかりって。」
「そうよ。そんなのみんな気にしないってば。」
「せっかく作ってくれたんじゃん。そのままでいいって。」

「ゴメン。でも、このままじゃ、合宿自体、上手くいかなくなっちゃうから。
 ゴメン。作り直すから。」


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