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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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良い客 良い嬢-1

良い客 良い嬢

今日は、良い人についての話。
何をもっていい人とするか、その定義もはっきりとせずに、わたしたちはとかく良い人でありたがる。
それは風俗の世界でも同じ。
良い客であろう、嬢に嫌われたくない、とそこまでいかなくても、ついいい人を気取ってしまい、なんとなく不完全燃焼でお店を後にした貴方もいるのではないだろうか。
これしたら嫌かな。こんなことは頼めないよね。ほんとはこうして欲しい。などなど、今一歩踏み出せず嬢の都合を優先させ、ううーむ、お金払ったのになんだかなぁ・・・と退店する貴方。
いい人である必要なんて、なーんにもない!
と、わたしは思ってしまう。最低限のルールとマナーをわきまえていれば、あとは本当に貴方の自由なのだ。
よしんば嬢に嫌われるとしたら、それはその最低限のルールやマナーすら守れない一定数の殿方なのだ。
本番禁止のお店で、当たり前のように挿入要求。嬢の髪や服を引っ張る。乱暴な言葉遣い。ぱっと思い浮かぶのはそんなとこだろうか。人は社会的生き物である限り、無法では生きられない。それはどんな小さな社会でもそうだ。
なにもね、お金を払ってるんだからなんでも好き勝手していいんですよ、と言っているわけではないの。
貴方がされて嫌なこと、ムッとすることをただ相手にもしないだけ。それだけでいいと思うの。
貴方が向き合っているのは、いつだって生き物だ。人間だ。それを忘れさえしなければ、大抵のことはOKかな。
さて、良い人、良い客ですが、たとえば・・・お金を持っててお土産を毎回買ってきて、プレイも大して要求はしない。イクのは1回だけで、あとはニコニコ残り時間を自由にさせてくれる。余計なことを聞かない。
・・・どこにいる!そんな人が。
これは、良い人ではなく、嬢にとって都合の良い人、である。
わたしたちは決して安くはない対価を受け取り、決まった時間お客様の要求と欲求を満たすという職業に就いている。ということは大前提。
もちろん身体に傷がついたりしたらそれはまずいが、わがままをね、聞いてあげてなんぼなのだ。
だから、臆せず言ってみてほしい。こんなプレイがしてみたい。
やっぱり盛り上がってなんぼなのだ。嬢だってお客様の心からの笑顔が見られたらそれは嬉しい。君でよかったよ、また来るからね(それは後々再来店するかしないかという、とびきりのリアルで嬢に返ってくる)という言葉。それが本当だった時は嬢もやったね、となるわけだ。
そして良い嬢とは。これも難しいけれど、殿方の目からすると、いつもニコニコ、お客様で差をつけず、サービス精神旺盛で、要求に応えてくれる(もしくはお願いしやすそうな雰囲気)ってなところでしょうか。
それもまた、いい人というよりはお客様にとって都合のいい嬢なのかもしれない。
たとえば上述のその全てを満たしていたら、ほんとはすごくすごく疲れてしまう。ある日プッツンと来てしまうこともあるかもしれない。
だから、できる範囲で、いいと思う。ただ、自分のスタンスはこうですよ、こういう方向でお客様を大事にしたいと考えています、という方向性が見えているかいないかは、大分差があると思う。要するに日頃の心掛けの問題なのだとわたしは思っていた。
スタンスのしっかりしている嬢が、いい嬢だと思う。もちろんスタンスとは、わたしこういうプレイしかできないから!とわがままを通すこととは違う。
貴方に良嬢との出逢いがありますように。

ちなみに、仕事をしていれば(それがどんな仕事でも)愚痴というものが出てくる。が、それをところ構わず垂れ流すのはいかがなものかとわたしは思っている。
それはやはり風俗の世界でも同じで、文句ばかり言っている嬢に、良嬢はあまりいない気がする。そして、お客様は自分を映す鏡である。
かといって、どこにも辛い顔をしない完璧嬢も精神衛生上よろしくない気がするけど・・・。それはそれで尊敬しちゃうけどね。
抜くとこ抜いて(抜く仕事だしね!)笑って仕事できる嬢になりたいと現役時代はいつも思っていたわたしでした。
わたしはぽんこつ風俗嬢だったのに、お客様には比較的恵まれていたと思う。
まぁMで売っていたので(そのほうがウケがいいんだって!ほんと?店長!)そしてどうやらほんとにMだったので、痛いことつらいこと、これはちょっと・・・ってことに耐性があっただけなのか。それとも本当に恵まれていたのかは今となっては神のみぞ知る。
でも、全体的に穏やかで良い、そして冗談好きなお客様が多かった気がする。
時々SとMのなんたるかを勘違いして、肋骨の上をひたすら殴ったり(地味にかなり痛い)膣内を噛んだり(それも今考えるとすごいな)しようとする方々もいた。
しかも彼らは、リピーターだった。店長はいつもよく我慢するね、ありがとうとわたしに言っていたが、今思うとありがとうとかそんな時と場合じゃなかったとも思う。
一緒に働いている嬢たちにも、嫌なことや危ないことはダメって言わなきゃ、と言われていた。そうだよね、なんとなく我慢できちゃってたけど、身体に傷がついたら色々と差し障るし、なにより他の嬢に同じことができるんだって思われたら大変だ。

と、そんなこともあったりなんだり、良い客とは、そして良い嬢とはなんぞや。というお話。
付け加えておくと、お互い我慢のし過ぎも良くないね。
言いたいことが言い合える関係が貴方と嬢で築けたら。それはとても素晴らしいことだと思う。今、風俗に来ています!っていうお金出してる感(まぁ出してるんだけれども)がちょっぴり薄れるかもしれない。


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