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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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パネルマジック-1

パネルマジック

大いに騙された貴方がいるんじゃないだろうか。
まさにマジックである写真加工のお話。
最近の技術って、目を見張るものがありますよね。
それは時に客泣かせ。
夢と希望と男心を逆手に取った見事なマジックである。
その加工力たるや恐ろしいものがある。そもそも光がバシバシに当たっている(欠点隠すぜ)状態で出来上がった写真に、目元、口元胸元二の腕に脚、背中までなんでもござれのデジタル加工。時空が歪む勢いで嬢たちを美しく仕立て上げる。シンデレラの魔法使いもビックリの特殊技術。
お店側も、まず写真に食いついてもらわなきゃしょうがないもんだから、とにかく綺麗な宣材を撮る、出す。
ちなみにわたしがいた店は、嘘ついたってしょうがないんだから、どうせバレるんだから、と誇大広告ナシの今どき珍しい正直表記の店だった。
恐ろしいことに、年齢、スリーサイズに至っても無理は厳禁。大幅なサバ読みも当然許されず、色んな意味でほぼ無加工で体当たりしなきゃならない店だったのだ。
これは嬢泣かせ。
綺麗に写りたきゃ痩せなさい。という店長の身も蓋もない訓示。ごもっともだが、ぐぅ・・・となってしまう。
そこを加工担当の広報さんが巧みな自然派(?)テクニックで違和感のないようにシュッとさせてくださる。ああ、ありがとう。
メイクやポーズもかなり重要。
わたしのいた店は、写真はいつも新しくがモットーで、しょっちゅう宣材を撮影してもらっていた。撮影にトコトコ出かければ、いつも同じメイクさん、カメラさんではなく、彼らとの相性も当然ある。
いつも明るくおしゃべり好きで、わたしたちの希望を尊重してくれた、上手なメイクさん(時間があると撮影の時までいてくれて、撮影風景を撮影してくれたりした)元気かなぁ。
はたまた、ボリュームが足りない!の一言でわたしのシャツを無許可でひん剥いてガムテープで素胸を寄せたあのカメラさん、ご健在だろうか。剥がすのが大変でした。確かに胸は、ど、どーしたの?ってくらい寄ったけどね。貧相でごめんなさい。
でもやっぱり、カメラさんは男性のほうがより官能的な(というか男心をくすぐる?)写真が撮れるような気がしたのはわたしの気のせいだろうか。
反対に、幼顔や妹タイプの嬢やポージングは女性のカメラさんが指示するのが吉とみた。
とまぁ、色んな苦労や得手不得手を経て、七難隠して余りあるパネルマジックは出来上がるわけである。思ったよりたくさんの人の手を経て、一枚の宣材写真は出来上がる。それが動画だったりしたらなおのこと。
そして、それにほぞを噛んで悔しがる殿方、続出。
けれどもその一枚は、女の子の、メイクさん、カメラさんの、そしてお店の(マジックと分かっていて勧めるボーイさんの度胸?)たくさんの人の努力の結晶たる一枚である。
けど、パネルマジックにかけられたらやっぱり、おいーー!ってなるよね。そりゃそうだ。そのドキドキやガッカリすら楽しめるようになったら貴方も立派な(✕末期の)風俗ユーザー(不名誉?)である。
ちなみにわたしは、初めての宣材写真を実はまだこっそり持っている。なんだか捨てるのがもったいなくて、そして普段じゃ見られない綺麗な自分を取っておきたくて。
楽しかったのは、嬢3人寄せ集めの集団撮影かなー。お店のプロフィール帳みたいなのに載ったの。ミニの和服(すごくいやらし可愛いのだ)でもちろん肩やら脚やらはだけて姉さんたちとくんずほぐれつ。なんだか本当にモデルさんになったかのような(こんな嫌らしいモデルがいてたまるか)一瞬でした。
その時の写真は、今でも宝物です。
とまぁ、撮影って、綺麗になって胸張ってなりきって笑って、時に無茶なポーズをしてプルプルしながら出来上がるのだ。
それはわたしにとってドキドキ楽しい時間だった。
でも騙された方々、ごめんなさい。
個人的には、パネルマジックは少ないに越したことはないと思う。好きでお客様をガッカリさせたい人なんていないと思うし、お客様も納得した上で嬢を選びたい。
年齢、スリーサイズ、果ては顔まで誤魔化されていたんじゃマジックというよりは最早ブラックボックスである。
ちょっと趣向が変わってきちゃうよね。
今日も逆パネマジを願いフリーの予約の電話をかける(✕勇者)貴方。
最高の魔法がかかりますように。
そしてある意味、魔法なんて必要なかったぜ!ってくらい楽しんでもらえたら。


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