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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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ずっと変わらず・ボーイさん忌憚-1

ずっと変わらず

さて、無事にエッセイ(?なのか)という形で掲載されたわたしの拙い文章。
読んでくれている方がいたら有難いことです。
わたしを見てくれたら、選んでくれたら幸いです。この気持ちで十数年、風俗嬢をやってきた。正確には、風俗の世界に飛び込んでかある年代からこの考えに至った。
最初はね、とても若かった。選り好みというか、正直身体や心が拒否反応を起こすお客様もいた。(今思うとすごくごめんなさい)
けれど、いつしかわたしは自分の身体でお金を稼ぐことの面白さにどっぷりハマり(恐ろしいことに完全歩合の世界だ)そして、身体だけで長きに渡ってお金を稼げないことも知った。
そりゃあ、見た目がいいに越したことはない。第一印象大事。たまに見かける、嬢を見た瞬間心の中でガッツポーズしちゃいました、逆パネマジ!という風俗レビューがそれを物語る。
けれど、それだけじゃあ、やっぱりダメなんだ。みんな求めてる。肯定感を。嫌がられないことはもとより、優しく受け入れられることを。
お客様がみんな寂しいなんて言わない。みんな孤独だなんて言わない。けれど、いつだって肌と肌、一番弱い粘膜をこすりつける最大の弱点の邂逅の瞬間であるセックスは、優しく受け入れられたい。そして最高に気持ちよくありたい。
そこにプロ・アマは問わずである。
いやー技を楽しみに来たんだよ!もしくは、普段素人の娘にできないことを思いっきり・・・なんて貴方も、やっぱり合意と理解の上にそのプレイは成り立つわけで。
SMなんてジャンルになると、その傾向はより顕著な気がする。
と、まぁ、つまりは性格もめっっちゃめちゃ大事ってこと。
派手な感じてるフリなんてあんまりいらない。それよりも貴方とだけ持てるこの時間を思いっきり楽しんで(ああ、終了10分前コールが惜しいぜ)たくさんの笑顔とまたねのきっかけが作れたら。
じゃあわたしは身体も性格も良かったのかというとそれは謎だ。もちろん何かがずば抜けていたわけではない。
けれど、わたしに出会ってわたしを抱く全ての貴方の長所発見マシーンであろうと思っていた。
風俗来る男なんてみんな同じ、出すことだけ考えてて女は道具。ろくでもない、はたまた勘違い。
などなど、風俗通いをする貴方に世間の(嬢の?)視線は時として厳しいかもしれない。
けれどそれがなんだ。
わたしはずっとそう思ってきた。
風俗業界への昨今の風当たりは非常に厳しい。けれど、それがなんだね。
そこには確かにたくさんのドラマと笑顔とはたまた涙が存在する。
わたしはあの世界が嫌いじゃなかった。
だからあの世界で生き抜きたかった。
大金は確かに稼げる。が、表向きは非常ーーに悪い。が、やはり大金は稼げる。きれいごとを言ってもそれは事実だ。
けれど、そこにやはり心は存在する。
働く者の心、遊ぶ者の心。
と、だいぶ脱線しましたが、わたしはずっと変わらず、思っている。
こんなわたしに目をとめてくれたのなら。
もちろんボーイさんのゴリ押しとかじゃなく。(でもボーイさんいっぱいありがとう)
目をとめてくれたのなら、有難う。絶対とてもいい所へ連れて行ってあげるから。
そして身体が遠く離れた後でも、ほんの数ミリでいいから、忘れないでね。
文章を書く今も、それは変わらない。

ボーイさん忌憚

さて、前回でボーイさんありがとうと言いましたが。彼ら無しでわたしたちの仕事は回らない。
わたしたちの稼ぎで暮らしてるんでしょーが、なんて辛口お姉様もいたが、そこは持ちつ持たれつ。本当に持ちつ持たれつなのだ。
送迎、清掃、嬢の管理、そして受付、電話、待合室での接客。
頭が下がる下がる。
彼らのオススメ(時として独断と偏見、そして営利とまたは温情に満ちている)に従ってよかった?大失敗?貴方はどちら?
彼らだって人間である。上記のような理由で様々な女の子たちをプッシュしちゃうわけだ。
ちなみにわたしがいたお店のボーイさんたちは、皆、超がつくほど正直だった。
あけすけに嬢の容姿や性格をありのまま語り、逆にお客様に、あんなに正直でいいの?笑っちゃったよと言われることが珍しくなかった。
オネストカード表示もびっくりの正直(暴露)仕様。でも、おかげでお客様からボーイさんたちへの信頼は厚かった。それがリピーター率の向上へと確実に繋がっていた。
自分がお客様へなんて推されていたか、評価されていたかはあんまり知りたくなかったけれど・・・怖い怖い。
けれど、彼ら、好色!
ある街では、わたしが在籍した数年間、わたしを口説かなかったボーイさんはたった一人だけという大変(わたしの容姿を鑑みると大変)不名誉な戦績を誇るお店もあった。合掌。風紀なんてもちろん厳禁である。もってのほか。聞くと、わたしを口説いたうちの一人は、他店の○○姉さんに食わせてもらってる立場だとか噂も流れてきたりして。ちょっといいなと思った嬢には片っ端から声をかけて、ねんごろになってはひいきする某ボーイさんもいたり。その誘いに知って乗り、寵愛と絶大なひいきによる人気を手にした嬢もいた。それもひとつの生き方だね、なんて仲のいい嬢と話したっけ。
はたまた、ある姉さんにしつこくしすぎたボーイさん、業を煮やした姉さんから、甘いお誘いかと思いきや馴染みのホストクラブへと同伴(?)させられ、しこたま酔わされ潰された翌日繁華街の路地裏に生ゴミよろしく打ち捨てられたとか。
バッカだねーーなんて笑って聞いてたけど、でもどこか憎めない、愛すべき存在だった気がするボーイさんたち。そしてなんだかんだ働き者の彼ら。
日々ありがとうございました。


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