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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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愛してるの罠・例のあいつと時間配分-1

愛してるの罠

言葉とはかくも偉大で同時にわたしたちはこうも愚かだというお話。
信じられる?わたしたちに、愛してるって言いながら射精する男がいる。
それも一人や二人じゃない。
よくよく考えてごらん。わたしたちは、貴方の前にも後にも、貴方と大して変わらない客が控えている。
それを慌ただしく抱いておいて、愛してる。
当然、射精した後は・・・そんな言葉を吐いたことを(もちろんご自分で仰ったのですよ)嘲笑うような表情。そんなこと、僕言いましたっけ?という罪のない様相というよりは、そんな言葉を真に受けやがって、という小馬鹿にするような表情。
わたしたちが真に受けたのはあなたの精液だけであって(人によっては例のラテックスに遮られてすらいる)貴方が排出する際に同時に吐き出した言葉など、何の感傷も誤解も生まないのですよ。
わたしも当然そんな言葉に胸踊る類の女ではなかった。(そんな女いるのか?)
しかし、男が達した後のその、馬鹿にするような、見下すような表情が我慢ならなかった。全て分かっているからこそ、腸が底冷えするような、居心地のない気持ち悪さを感じた。
そんな男のことなんて、終了のコールが鳴れば忘れてしまうのですがね。
だけどみんな分かってる。
射精するその時に目を見つめながら、あるいはもう操れないほど弛んだ口元で覆うようにキスをして、身の入らない声で愛してるって言いながら出してね。それが女にとって最高の幸せ。ね、愛する貴方。(どこにいる)

例のあいつと時間配分

わたしたちは、常に時間と戦っている。
サラリーマン、お母さん、お爺さんお婆さんまで皆等しく平等に。今日もご苦労様です。
あの頃のわたしもそうだった。
ショート、ミドル、ロング。なんにつけてもその場を真に支配しているのは愛や世迷言ではなく、時間だった。
時間を忘れさせ、わたしたちを買ったという絶対の事実を忘れさせ、でも結局時間が全てを決めていた。
タイマー持参のあられもない愛の遊戯を演じる強者もいた。けれどわたしはあまりそのやり方を好まなかった。
どうせ終了10分前には全てを切り裂く現実のコール音が鳴る。
それがわたしたちにとって天国のラッパかどうかは推して知るべし。ね、ダンディーで紳士な貴方。
というわけで、時間配分は何よりも大切なのだ。ショートならこの時間、ミドルならこの時間、ロングならまずこのくらいの時間に。
つまり、射精しちゃってほしいわけだ。
それからピロートーク、シャワーやなんだかんだと続き、当然一度じゃ物足りない貴方への再戦状が突きつけられるわけだ。控えおろう。(むしろカモン)
そんなこんなで、全てを円滑に進め、且つ笑顔でバイバイするには油断ならない時間配分が必要なのだ。
というわけで、大事な役割を担うのがこの方、例のラテックス様というわけだ。
あ、この方緊張しちゃって(もしくはテンションそこまで高くない、体質でとか)なかなかイカなそう・・・と思ったら、薄めのアレを。
かと思えばかくも勇猛な獣の一族かなにか?みたいな方にはちょっと厚めのでもイケるよね、と一番薄いのは使わない。早くイキすぎちゃっても、もちろんイケなくても間が悪い。
2回目以降は両方向の方に薄いアレを使うことが多い。1回目って、大体盛り上がりや興奮でなんの種類使ってもイケちゃうことが多いのだ。しかし2回目からは体質やその方の性格、クールダウンの時間の取り方、わたしとの相性など様々な要因が複雑に絡み合って射精へと至るのだ。
もしかしたら控えている3回目に備えて2回目は慎重に精査されるとわたしは思う。
だってせっかく高いお金払って、望む回数、したいでしょ?
なるほどと思うか、それくらいと思うかは貴方次第。
わたしは3〜4種類、サイズを含めればもっとたくさんのアレを常時揃えていた。
ちなみに店から支給されるものはやっぱり質があまりよろしくない。ラブホテルのそれと同じ、と思っていただければ良い。
そんなこんなで、あんなちっぽけな正方形にもちょっとした物語があるのだ。
そんなもんつけなくていいよ、なんて言わないでね。(プライベートでも)
時間と例のアレの、密接な関係についてでした。


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