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ある街ある嬢
【エッセイ/詩 その他小説】

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はじめに。-1

大体の女は動物を飼い(猫が多い)そうではない女は男を飼っている。物好きはその両方を飼っている。お疲れ様。

煙草を吸い、酒が好きで、噂話と悪口が好きで、文字通り誰にでも股を開く、拒否権などない。それがわたしたちだった。

わたしが学んだことは、男はこれ無しでは生きていけない。しかしそれは男の全面ではないということだ。

国が見て見ぬふりをする公認の売春街。
役所や衛生局ですら、ちょっとの袖の下で抜き打ち検査の日を教え、繁忙期には尋ねてこない親切仕様。
昔のような見張りもいない、高い壁も門もない。けれどあの空間はそれ以外と地繋ぎでも隔絶され、まさに独特の何かが漂っていた。

殿方、憧れと欲望を抱え、この地に何を求めて降り立つ?
電車で、バスで、はたまた自らの足で。
そして慇懃でも嘘くさいスーツ姿が送り迎えしてくれる黒塗りのワンボックスで。

思ったより悪い場所じゃないのよ。
わたしにとっては少なくともそうだった。
美しく、堕落していることが毎日の目標。

引退した今も、あの地に纏わる話は売るほどある。
離れてしまえば懐かしい。
拝見、あの頃のわたしへ。
貴女は単純に輝いて、頑張っていた。
それを全て無かったことにしたら、かわいそうでしょう。

よかったら、少し付き合ってね。


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