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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その3-3


どうしようもない夫だが、
性には貪欲でテクニシャンの夫に愛されるのは、
美奈子は女としては嫌いではなかった。

夫が時々、思い出したように暴力的に振る舞うことがあるが、
2人をつないでいる絆があるとすれば、
それは性的な関係だけだった。

その夫がいるものと思って入ったラブホテルの部屋の中には、
自分の知らない男が立っていた。

呆然として、美奈子は一瞬、頭を後から殴られたような気がした。
美奈子はそのとき体に悪寒が走った。

何かとてつも無く嫌な予感がするのだ。
その予感は当たっていた。

(あなた、この人とはどういう関係なの?)
夫だけがいると思っているその部屋の中に、知らない男がいたなど、
美奈子は想像もつかなかった。

「あ、あなた……」
そういうのが美奈子は精一杯だった。
美しく着飾り化粧をした美奈子を見て男は言った。

「あ、奥さん、はじめまして、龍崎と言います、そう驚かないでくださいな」

龍崎と名乗った男は夫と同じような年恰好であり、
美奈子の苦手な相手だった。

髪の毛が薄い上に、唇がぶ厚く、
ギラギラとしたその顔は品がない。
体つきは下腹が出ていて、どう見ても美奈子の嫌いなタイプの男だった。

美奈子は自分が美人だからといって、人を偏見の目で見たりはしない。
しかしその男の場合には違っていた。

自分を見つめる目がウサギを飲み込もうとする蛇のように見える。
男の目は執拗に美奈子の胸や腰回りをジロジロと見つめている。
美奈子の背中に戦慄とともに、
冷たい汗がすっと垂れていた。

「あなた、これはどういうことなの?」
美奈子は、震える声でそれを言うのがやっとだった。

「いや、この人とは遊び仲間でね、話したらお前を気に入ってくれたんだよ」
「えっ? 私を? 何の為に……ですか?」
「だから、今日は美奈子をこの人に預けるのさ」
「え?」

初め美奈子は、夫が言っている意味がわからなかった。
「この人に可愛がってもらえばいいんだよ」

今まで黙って見ていた男が言った。

「そういうことですよ奥さん、
貴女の身体を私が買わせてもらいました。
これは男同士の約束なんです。
今日はたっぷりと後で楽しませてもらいますからね」

「そ、そんな!」
「ほれ、見てごらん、龍崎さんは美奈子をこんなに高く買ってくださったんだ」

そう言って夫はニヤニヤしながら、
懐に手を入れると紙袋に入った札束を見せた。

美奈子はようやく自分がこのホテルに呼ばれた意味がわかった。
「いや! いやよ……」

このときほど美奈子は夫を憎み、軽蔑したことはない。
今までの浮き浮きとした気持ちが一気に萎えてしまった。

「わたし、帰ります!」
そう言って美奈子は逃げようとして後ろを向いたとき、
その男に背後から羽交い締めにされた。



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