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手紙
【熟女/人妻 官能小説】

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妖しいアルバイト-1

君恵はその日、思いがけない報酬を手にして嬉しかった。
久し振りにスーパーで普段は買わない贅沢な食材をレジ袋に入れた。
家路を急ぎながら、足が軽やかになっている。

「これで料理して真二郎さんは喜んでくれるかしら?」
そう思うと君恵は楽しくなっていた。
今までに、折角みつけた仕事もお嬢様育ちの君恵には務まらなかった。

スーパーのレジ係をやらされた時に
「ダメじゃない、そんなにレジ打ちが遅くっちゃ、お客さん並ぶわよ!」

それではと、品物を製品棚に並べる係に行かされても
「それはそこじゃないの! 何度言ったらわかるのさ……」
同じパートの女に言われたことが悲しかった。
泣きたかった。

それではと、マンションの清掃の仕事をしても管理人から嫌味を言われた。
「あんたねぇ、掃除をしたことないのかな? これで綺麗だと思う?」
「すみません、気をつけます……」
掃除と言っても、仕事となるとわけが違う。

慣れないことで君恵は疲れていた。
重いモップを持って動くのは君恵にとってはすごく疲れる。
不甲斐ない自分が情けなくなり、ひとりでに涙が出てくる。

それから思うと、アパートの住人の冴子から紹介して貰った
この仕事は夢のようだった。

(知らない男性の相手をするだけでこんなにお金が貰えるなんて……)
だが、さすがに君恵にも、その仕事に罪悪感がない訳ではない。
売春まがいだということも何となく分かっていた。

だが、生きる為にこうするしかなかった。
そうしなければ、駆け落ちまでしてきた彼と生活はできない。
(食べられなくなって、いっそ大好きな彼と朽ち果てても良いかも)
と何度思ったことか……。

それはできなかった。
まだ死ぬことは出来ない。
前途ある彼を道連れにしてはいけない。
もう少し彼の小説が売れるようになるまでの辛抱。
たとえ自分の身がどうなろうと……。

そうでなければ、あの人の元から逃げてきた意味がない。
あの高慢な教授面した男に頼らずに生きなければ……。

そう決心した自分が生きていくには、この道しか残されていなかった。
このように心で決めると気持ちが楽になった。
(もうわたしは昔の自分には戻れない)と覚悟した。

唐沢という男に仕事の説明と称して弄ばれても割り切った。
彼にそうされていながら、身体が反応していた自分がいる。

今まで、前の夫や、真二郎とのセックスでは得られなかった
エクスタシーも感じるようになってきたからだ。
(これが私の知らなかった本当のセックスの喜びなのね)
そう思ってみると、この仕事がまんざらでもなく思えてきた。

君恵にとって後ろめたさを感じ、その為に理性を失ったとしても
(性の行為)はそれ以上の価値があった。



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