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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その 2-2

矢吹のその訳が知りたいと美奈子は思った。
だが彼が自分から進んで話すようには感じられない。
人それぞれに、人には言えない理由があるからだ。

矢吹も美奈子に復讐の為にこの街を訪れたとは言えなかった。
ただ、今は張りつめた気持ちをここで癒したいと思っていた。
人は嬉しさや寂しさを心の中に秘めている。

美奈子はどこも取り柄のない夫とは別れた。
自分から求めた男だったが、それは見かけだけだった。
希望の無い、愛のない生活だった。
そのとき(もう、男なんて……)
と思うほど、どうしょうもない男だった。

浮気はするし、働かず、いつもブラブラしていた。
だがセックスのテクニックだけはあった。
虐められながら強引にセックスをさせられたこともある。
恥ずかしい体位で無理やり犯されたこともあるが、
感じたことも事実だった。

そのことがどこか無意識の中で残っている。
それが悲しい女の性だと言えるのだろうか。

だが女として数々の浮気は許せなかった。
もう、男なんて……と思いながら身体が求めてしまう。
しかし、我慢にも限界があった。
あることが原因でどうしても許せなくなり、ついに別れた。

別れた男に、後にとんでもないことが起きるが
それは後にしよう。


そんな時、美奈子の前に矢吹が現れたのだ。
いま、自分の横に彼がいる。

「矢吹さんは、寂しいことはありませんか?」
グラスを傾けながら美奈子は矢吹を見つめる。

「ええ、それはありますよ」
「そうですか、ところで好きな人はいますか?」
「えっ? 残念ながらいません」
「そうですか、それなら嬉しいです、わたし」
「えっ、どうしてですか?」

酔った勢いで言ったが、いつもの美奈子ではなかった。
言った言葉で美奈子は自分自身で驚いていた。

酔がそうさせているのかもしれない。
しかし美奈子は真剣だった。
その目は潤んでいた、泣いているようにも見えた。

「嬉しいです、心から、わたし……」
「……」
矢吹はどう返していいのか言葉を探していた。
いつもは穏やかな美奈子はその夜は違っていた。
なぜか心ときめく自分がいる。

美奈子の手はいつしか矢吹の手に触れている。
(抱いて欲しい……)
こんな思いになったのは久し振りだった。
恋していたときのように美奈子の目が潤んでいる。



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