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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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9月:ドイツ-8


翌日、お昼過ぎからゆっくりと観光に回り始めたとき
小川くんの携帯が小さく鳴った。

「小川です。あぁ、リサ?」

「今日は俺、休みだけど?」

ほんの少しため息をつきながら話している内容は仕事のことで

「とにかく、明日の夕方には一度出社するから」

そう言って小川くんは電話を切った。
「いいの?」
「平気」

電源を落として再び私のための観光を始めてた。
それから1時間もたたない頃、急に小川くんを呼び止める女性の声がした。

「Kyohei!」

そう叫んだ女性は『綺麗な人』、という形容詞のままそこに存在していた。

「Lisa... Was ist los? Du bist noch auf Arbeit, oder?」
「Dein Handy ist ausgeschaltet!」
「Also... Ich habe mir doch frei genommen.」
「Du kennst aber, dass wir gerade total im Stress sind! ...Ist sie deine japanische Freundin?」

2人の会話は全く聞き取れなかったけど。
彼女が小川くんを「恭平」と名前で呼ぶのだけは聞き取れた。

「リサ、悪いけど、日本語で話してくれないか?」
ドイツ語で話していた小川くんが急に日本語で話し始めた。

「Meine Muttersprache ist Deutsch.」
「日本語で!日本語も流暢だろ?ほのかが心配する」
「Aber wir reden doch immer auf Deutsch!」
「それは、ほかの研究員もいるからだろ?日本語で!話して」

日本語と小川くんとドイツ語の女性はそれでも話がかみ合っているようで
軽い言い合いをしているけど、私には何も聞き取れない。

「Ihretwegen verzögerst du unsere Forschung.」
「大げさな。チームは少し煮詰まっていただろう?俺一人が2日抜けたぐらいで遅らせることにはならない」



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